目次

  1. タンスに眠る着物をアロハに
  2. 苦心の末に完成したアロハ
  3. 内職で生計を立てた子ども時代
  4. 仙台の町を泣きながらさまよう
  5. スタッフの支えで乗り越えた危機
  6. アイリスオーヤマ会長との出会い
  7. デザインを刷新して表舞台に
  8. 海外展開でアイテムを拡大
  9. 不屈の精神で立ち上がる

 「古物商の仕事を通して知ったのが、着物の不当とも言うべき扱いでした。日本には2億枚の着物がタンスに眠っていると言われます。引き取り手のない着物がごまんとあり、売りに出せば二束三文で処分される。この着物にもう一度光をあてられないかと悶々としていたとき、アロハシャツの起源を知りました」

 アロハシャツはハワイに移り住んだ日本人が着物をほどき、仕立てた開襟シャツがその始まりでした。

 これは面白い――。櫻井さんはさっそく行動に移します。

 アロハシャツに仕立て直すには、まずは反物に戻す作業が必要になります。地元の呉服店に相談したところ、1枚1万円で納期は1週間と言われました。これでは商売になりません。

 いきなりつまずいた櫻井さんの耳に入ってきたのが子どもを抱え、働きたくても働けないお母さんたちの悩みでした。震災の爪痕が残る仙台では、保育園もろくに機能していなかったのです。

サムライアロハはタンス在庫だった着物をアップサイクルする試みです(以降の画像はすべてサムライアロハ提供)

 彼女たちの内職仕事にすれば一石二鳥だとひらめいた櫻井さん。第一関門はクリアしたものの、さらに大きな壁にはね返されます。縫製を請け負ってくれる工場がみつからなかったのです。

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