目次

  1. コロナ禍乗り越え 行列のできる人気店へ
  2. 麺代は30~40%増 交渉力乏しい小規模店
  3. ラーメンが簡単に値上げできなかった理由
  4. 数十円の値上げが来客に大きく影響
  5. 水を飲む暇もない忙しさ 手元に残るのは月60万円
  6. 現場が耐えて維持されてきた「安いニッポン」

 2022年の10月いっぱいで経営していた「ドラゴンラーメン」を閉店しました。コロナ禍が本格化した2020年10月に開店してから、2年1ヵ月でした。

 店があったのは青森県八戸市で、駅から近く、市役所からすぐそばの「八戸市公会堂」の中です。よさそうな立地に聞こえるかもしれませんが、実態は真逆です。これまでに入居した飲食店はほとんどが早々に閉店しました。

昼時に撮影した八戸市公会堂周辺の様子

 理由は単純で、平日、休日とも人通りがほとんどないからです。

 「苦しい経営を続ける経営者の気持ちを理解したい」と考え、あえてこの立地を選びました。予想以上に経営は大変でしたが、徐々に集客できるようになり、11~14時という短い営業時間に1日平均100人を超える来客があり、1時間待ちの人気店になりました。ラーメン店としては成功の部類だと思います。

ドラゴンラーメンへの入店待ちの行列

 しかし、人気店に育てることができたにもかかわらず、閉店を選びました。私のキャパシティ不足という側面もありますが、原価高騰による採算悪化、人手不足も大きな理由です。

 開店時はコロナ禍がこれほど続くとは考えず、遅くとも2021年中には正常化すると考えていました。振り返ると見通しが甘いと言わざるを得ませんが、2022年はこれまでに経験のない値上げが事業者を襲いました。

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