目次

  1. 地域おこし協力隊を機に、イノシシ狩猟の世界へ
  2. 地域おこし協力隊を機に島根に移住
  3. 「夏のイノシシはおいしくない」
  4. 猪肉をふるまう食事処が閉店
  5. 「知足」から「安分」へ、思いも人もメニューも引き継ぐ
  6. 切り札は栄養価 女性向けサブスク販売の道を探る
  7. 夏の猪肉のメリットに焦点
  8. 「1頭でも埋めない」 信念を貫くために

 山村の趣を感じさせる木造の建物に、モノクロでポップな看板が、安分亭の目印です。松江市中心部から南へ約10キロ、旧八雲村という山々に囲まれた集落に、その食堂はあります。

以前の農家食堂の趣が残る佇まいの安分亭

 「野菜とジビエ、たまにお蕎麦。」という副題の通り、メイン食材は八雲の猪肉と新鮮野菜です。安分亭のインスタグラムには、そぼろご飯、グリーンカレー、麻婆茄子、ガパオライスと、和洋中を問わずアレンジされたメニューが並んでいます。

 伝統ある熊野大社の参道脇に位置していることから、参拝客が地域の食材を味わえるスポットにもなっています。

筆者が食した生姜焼き定食。ほのかな野生味が香る猪肉を堪能した

 「四六時中、猪肉と向き合っているせいか、イノシシへの愛が強くなりすぎて困ってしまいます」

 表情は真剣そのもの。イノシシにのめり込むようになったのは、地域おこし協力隊としてジビエの利活用に携わり始めたことがきっかけでした。

 森脇さんは島根県西部に位置する浜田市の出身。広島市にある大学進学を機に島根を離れ、卒業後は管理栄養士として現地の薬局に勤めていました。

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