目次

  1. やり手の経営者だった父
  2. 妹が泣きながら相談の電話
  3. 父から意見を一蹴されても
  4. 姉妹で開いた日本酒バー
  5. 事業承継を根気よく説得
  6. 角打ちスペースをオープン
  7. 酒好きが集まる酒屋に

 JR赤羽駅から西へ歩いて20分ほど。団地に囲まれた住宅街のなかに、3姉妹が切り盛りする老舗酒屋「三益酒店」があります。

 三益酒店は1948年に創業。全国から集めた500種類以上の地酒を専門に扱っています。陳列棚には「変態酒」と呼ばれる山形のお酒や「ごぼうビール」といった珍しいお酒が陳列棚に並んでいます。

 店内には美保さんと次女の由美さん(36、現姓・佐藤)と2人で開いた角打(かくう)ちスペース「三益の隣」も備え、最大で25人ほどが収容ができます。水曜から日曜まで営業しており、三女で料理長の美香さん(28)による手料理が地酒とともに振る舞われ、お客さんと従業員との会話が弾みます。

 美保さんは6年前、2代目の父・孝生さんから店を受け継ぎました。

 孝生さんはやり手の経営者でした。2003年の酒販免許の完全自由化でスーパーやコンビニで格安のお酒が売られるようになり、多くの酒屋が経営不振に陥るなか、地酒専門店として独自路線を確立し売り上げを増やしました。

 それゆえ「事業承継は一筋縄ではいかなかった」と美保さんは打ち明けます。

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