目次

  1. 仕事の始まりは「御用聞き」
  2. 経営悪化でネット販売へ
  3. 10万点をウェブページに
  4. 上海進出で「遠慮したら負け」
  5. ネットショップのための実店舗
  6. 人気の手帳を引き継ぐ
  7. インスタは18万5千フォロワー
  8. 社員が手帳のアイデア本を出版
  9. 新卒社員の育成も「勉強」に
  10. 後を継ぐなら「容赦なくやる」

 和気文具は1926年に創業し、当時は紙問屋を営んでいたといいます。先代は岸井さんの父が務めました。今でこそスタイリッシュな店構えですが、岸井さんの記憶にある和気文具は、アニメやアイドルのシールが店頭に並ぶ「コテコテの文房具屋だった」といいます。

 「昭和のころはただ商品を置けば売れる状態。買い物にいく店が限られ、なじみの文房具屋で決まったものを買うルーティンに組み込まれていたんでしょう」。しかし、和気文具が構える商店街の近くにも、スーパーや100円ショップなどが続々と進出しました。

和気文具は大阪・野田阪神の商店街に店を構えます

 岸井さんは子どものころから、店番や品出しなどを手伝い「お店屋さんごっこみたいな感覚でした」。本格的に家業を手伝いはじめた18歳のころは、主に配達を担当しました。「当時売り上げの大半が企業への納品で、御用聞きのような役割でした」

 店頭では文房具ではなく携帯電話を販売していました。岸井さんが店を手伝いはじめた1998年ごろは、町の商店でも契約できる時代だったのです。

 「1台売るごとに報酬がもらえ、文房具よりもうかる。次第に家族総出で携帯電話販売に関わるようになりました」

 携帯電話の普及が広がった2年後まで販売が続きました。そのタイミングで会社の業績に目を向けた岸井さんは、初めて父から決算書を見せてもらうと、和気文具は多額の借金を抱え経営状態が芳しくないことを知ります。

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