目次

  1. 木工に向き合う祖父を目に
  2. 「できて当たり前」と見られて
  3. 時代に合わない組織運営
  4. 売り上げ低迷期に社長就任
  5. 他社と競うことが目的に
  6. 危機感から動き出した新規事業
  7. 「ごろ寝ソファ」が大ヒットに
  8. 社長とつながるフラットな組織に
  9. ブルーオーシャンを探して

 モーブルは1986年、坂田さんの父重行さん(現会長)が、木工業を営んでいた祖父の会社から分離独立する形で創業しました。地元の協同組合に加盟する百数社ほどの企業のなかで、もっとも後発でした。

 今ではソファやリビングボードなどのオリジナル家具ブランド「モーブル」や、特許技術で製造した高反発素材・ライトウェーブを使った、マットレスブランド「リテリー」を展開。60シリーズを持ち、大手家具店でも扱われています。年商は15億円で、従業員65人(2022年8月現在)を抱えています。

多彩な家具が並ぶ本社のショールーム(同社提供)

 創業したのは坂田さんが中学1年生のころでした。高校から地元を離れたため、家業に触れることはほとんどなかったものの、木工に向き合う祖父の姿には幼少時から親しみを感じていたそうです。

 大学時代にバックパッカーとしてアジアを周遊していた坂田さん。旅行会社への就職を希望しましたが、直前に会社の風土と合わないと感じて断念。「真剣に就職活動をしなかったのは、いつか家業を継ぐと思っていたからかも」と振り返ります。

 それまで父から承継を促されることはほとんどありませんでした。坂田さんは大学卒業後の1997年にモーブルに入社しましたが、父からは「だめだったら3年で辞めてもいいし、新たに事業を起こしてもいい」と言われたそうです。

 坂田さんは入社後、自社商品がどのように作られているのかを習得するため、まず工場に配属されました。しかし「社長の息子だからか、警戒されていると感じました」と振り返ります。

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