目次

  1. 自転車で靴下を編める直営店
  2. 60年前の編み機が現役で稼働
  3. 子ども心に感じた靴下業界の不況
  4. 職人として失敗だらけのスタート
  5. 業界の斜陽化で自社製品に挑戦
  6. 強みを生かしたローゲージの靴下
  7. 成長する自社製品で感じた喜び
  8. 「街ごとブランディングしたい」

 日本靴下協会の統計によると、国内産の靴下の約6割が奈良県で製造されています。特に一大産地の広陵町は「靴下の生産量日本一の街」を掲げています。

 創喜は2021年12月、直営店「くつ下たのしむ実験室 S.Labo(エスラボ)」をオープンしました。館内には自転車をこぐと靴下が編みあがるユニークなマシン「チャリックス」を設置し、注目を集めています。

 そこには「テーマパークのような感覚で、靴下の購入を楽しんでほしい」という思いがありました。靴下の産地として知られる広陵町ですが、実はこれまで町で生まれた靴下を直接購入できる場所がなかったのです。

 36色の糸から3種類を選んで組み合わせると、自転車のペダルと編み機が連動し、10分ほどこぐと1足分の靴下が編みあがります。編みあがるとスタッフがその場でつま先の縫製やセット仕上げを施してくれるのです。

チャリックスは自分で自転車をこぎながら靴下を編みます

 16年にチャリックスを開発したのが、創喜5代目の出張さんです。靴下を実演販売するため、自ら自転車を改造しました。「手打ちそばのように、靴下が編みあがる様子をお客さんに楽しんでいただきたかった」

 S.Laboでは来店客もチャリックスを操作できます。ペダルを踏むたびにソックスができあがる楽しさが目をひき、オープン1年で約5千人が施設を利用し、マスコミの取材も相次ぎました。

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