目次

  1. 雇用調整助成金のコロナ特例とは
    1. 生産指標の確認は直近3ヵ月と前年同期との比較
    2. 雇用量要件
    3. 最後の休業等実施日から1年経過が必要
    4. 計画届の提出は不要へ
    5. 残業相殺をしない
    6. 短時間休業の要件を緩和
  2. 緊急雇用安定助成金も3月末で終了

 雇用調整助成金のコロナ特例とは、新型コロナにより事業活動の縮小を余儀なくされたときに、従業員の雇用維持を図るために、労使間の協定に基づき、「雇用調整(休業)」を実施する事業主に、助成率と上限が引き上げて休業手当などの一部を助成するものです。

雇用調整助成金の特例措置(厚生労働省の公式サイトから https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html)

 2022年3~9月は、1人あたりの1日の支給上限額を1.5万円まで引き上げていましたが、財源も枯渇するなか、徐々に縮小し、2022年12月以降は通常制度としたうえで、一定の経過措置を設けていました。2022年2~3月は8355円となっています。

 こうしたコロナ特例は2023年3月31日で終了することになりました。ただし、雇用調整助成金の制度自体は4月以降も継続します。

 通常の雇用調整助成金を利用するには、以下の支給要件を満たす必要がある予定です。支給要件を固めるには、厚生労働省令の改正などが必要です。

 直近3ヵ月の生産指標(売上高など)が前年同期と比較して10%以上低下していることが要件です。比較可能な前年同期が無い場合は助成対象となりません。

 休業等を実施する事業所における雇用保険被保険者や受け入れている派遣労働者数の直近3ヵ月の平均値が、前年同期に比べ5%を超えかつ6人以上(中小企業事業主の場合は10%を超えかつ4人以上)増加していないことが必要です。

 コロナ特例を利用していた事業所が、2023年4月1日以降の休業等について通常制度を申請する場合、最後の休業等実施日を含む判定基礎期間末日から1年経っている必要があります。

雇用調整助成金の4月以降のクーリング制度の考え方(厚生労働省の公式サイトから https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html)

 コロナ前は、休業等の実施前に計画届その他の書類の提出が必要でしたが、2023年4月1日以降の休業等については、6月ごろまでの間、計画届の提出が不要となります。

 コロナ前は、判定基礎期間中に実施した休業等の延べ日数から所定時間外労働日数の差引が必要ですが、2023年4月1日以降の休業等については、6月ごろまでの間、残業相殺はしません。

 コロナ前は、助成金の対象となる労働者全員に対し、一斉に休業を実施することが必要でしたが、一部の労働者を対象とした短時間休業も助成対象とします。

 同時に、緊急雇用安定助成金も3月31日で終了します。緊急雇用安定助成金は、雇用保険被保険者以外の人向けの休業手当に対して支給する助成金です。

 緊急雇用安定助成金の申請期限は、支給対象期間の末日の翌日から起算して2ヵ月以内です。2023年3月31日を含む判定基礎期間の申請期限は5月31日までです。郵送でもオンライン申請でも期限までに書類が労働局・ハローワークに届いている必要がありますので、注意してください。

緊急雇用安定助成金の判定基礎期間の考え方(厚生労働省のリーフレットから https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html)

 賃金締め切り日や最終休業日にかかわらず、判定基礎期間の末日は一律に3月31日までとなります。緊急雇用安定助成金の場合は4月1日以降も休業を実施した場合でも、助成対象は3月末までです。