目次

  1. 食欲そそる香り、途切れぬ来客
  2. 「この仕事をやるのは嫌」と感じて
  3. 広告会社でコピーライターに
  4. 父の持病悪化を機に家業へ
  5. 通販や真空パックを展開
  6. 両親を説得してイートインも
  7. 自らを広告塔にPR戦略
  8. 露出効果で売り上げが急伸
  9. 「沖縄のソウルフード」を目指して

 食欲をそそる香ばしいニンニクの香りが店の外にまで立ちこめていました。筆者が取材で訪れた23年1月、ブエノチキンの店舗はランチタイムを過ぎたにもかかわらず、テイクアウトでチキンを買いに来る客が絶えませんでした。

 値段は1羽(3~4人分)で2千円です。浅野さんは「ECサイトの販売分を含めて1日約300羽を焼いています。クリスマスシーズンは1日500羽くらいになります」と話します。

 ブエノチキンは、自然が多く残る沖縄北部の「やんばる(山里)」にある指定農場で育てられた「やんばる若鶏」を使っています。秘伝のタレに2日間漬け込み、ニンニクをたっぷり詰め込んで、ロースターでじっくり焼き上げます。

 焼きたてをほおばるとジューシーな肉汁がにじみ出し、柔らかい鶏肉のうまみが口いっぱいに広がります。ハーフサイズ(1~2人分、税込み千円)でもかなりのボリュームですが、後味を引くニンニクの香りとお酢のさっぱりとした味わいで、1人で完食してしまいました。

チキンの丸焼きにはニンニクをたっぷり詰めています

 ブエノチキンは浅野さんの誕生と同じ1982年の創業です。自営で食品販売をしていた父・幸喜孝英さんが自分の店を持ちたいと考えていたところ、売りに出されていたローストチキンの店を買い取りました。

 味付けは昭和初期に沖縄からアルゼンチンに移住して戻ってきた人々が持ち帰ったローストチキンを孝英さんの前のオーナーが再現。アルゼンチンの首都ブエノスアイレスをイメージし、「ブエノチキン」と名付けました。

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。