目次

  1. マイナスイメージしかなかった
  2. 美容業界で気づいた農業の尊さ
  3. きゅうり栽培に見いだした商機
  4. 栽培を始める前から積極発信
  5. ヘロヘロになっても重ねた工夫
  6. きゅうりの売り上げを2.5倍に
  7. 農業の枠にとらわれない活動
  8. 「農業を楽しむ姿を見せたい」

 工業都市のイメージが強い四日市は農業も盛んで、阿部家も代々続く米農家です。「恐らく4代目」と言う阿部さんは2017年に「しなやかファーム」を開業しました。

 それまで農業経験はゼロでしたが、きゅうり一本に絞り徐々に規模を拡大。現在は作付面積2100平方メートル、5連のビニールハウス2棟で年間収穫量40トンの規模になりました。

鈴鹿山脈のふもとにある「しなやかファーム」のビニールハウス

 若いころの阿部さんは、兼業農家だった父親を見て「大変で全然楽しそうに見えず、たまに手伝うのも嫌でした。田舎にも農業にもマイナスイメージしかなく、とにかく外に出たかった」と振り返ります。

 高校卒業後、名古屋市の大学を2年で中退。親の反対を押し切り、20歳から「自分探しのフリーター生活」に入りました。

 様々なアルバイトで、特に印象に残ったのは書店のスタッフでした。「担当売り場の売り上げがよく、仕事の楽しさを感じました。POPを描いたり、見栄えよく配置したりするスキルは、きゅうりの販売にも生きています」

スーパーなどの売り場のPOPは阿部さんが自ら手がけます(しなやかファーム提供)

 そのころから就職活動を始め、広告会社の営業職に。25歳で結婚して33歳のときに転職し、エステサロン事業の経営責任者を任されました。名古屋市にマンションを購入し、子宝にも恵まれ、暮らしの基盤は固まりつつありました。

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。