ロールモデルとは?注目されている理由と導入方法を徹底解説
キャリアパスを考えるためには、適切なロールモデルの設定が必要不可欠です。しかし、ロールモデルの設定方法や効果は意外と知られていません。本記事では、企業側と社員側に向けて、ロールモデルの重要性や設定方法、活用法、注意点を、組織開発の専門家が解説します。
キャリアパスを考えるためには、適切なロールモデルの設定が必要不可欠です。しかし、ロールモデルの設定方法や効果は意外と知られていません。本記事では、企業側と社員側に向けて、ロールモデルの重要性や設定方法、活用法、注意点を、組織開発の専門家が解説します。
目次
「ロールモデル」とは、自分が目指すべき方向性を示す人物のことです。ロールは「役割」、モデルは「見本」という英語が語源となっており、1940年代にアメリカの社会学者ロバート・K・マートン氏によって定義された言葉とされています。
ロールモデルには「手本」としての機能があり、まさにこれからキャリアを築いていく成長過程の社員にとって、刺激となる存在です。例えば、目指している職業に就いている人や、尊敬する人物、共感できる人などです。また、成功を収めた人だけでなく、困難を乗り越えている姿勢や挑戦し続ける姿勢が素晴らしい人、チームワークを重視し、人格者として尊敬されている人なども当てはまるでしょう。
企業は、どのようなキャリア選択が可能なのか、キャリア形成の具体的な情報を社員に提供することが大切です。なぜなら、社員がキャリアパスを考える際には、目指すキャリアに近い分野で活躍している人物を見つけ出し、その人物の行動から学ぶことが重要だからです。
ロールモデルが注目される理由は2つあります。
身近な成功例を見ることで、目標や理想の姿を明確にできます。これにより、自分自身が取るべき行動が明らかになり、キャリアの方向性を定めやすくなります。
また、成功例を見ることで、最速で目指す姿に近づくためのヒントを得ることができます。どのようなスキルや能力を身につけるべきか、学ぶべき方向性を判断するための指針となるでしょう。
近年、女性が社会で活躍することが注目され、仕事と家庭を両立している女性社員がロールモデルとして期待されています。女性が仕事で成功することは、ジェンダー平等を実現するために重要です。
しかし、育児や家事は、まだまだ女性が多く負担している現状があります。そのため、「やるべきこと」の役割が増えたにも関わらず、時間的な制限のある環境下でどのようなキャリア形成が可能なのか、戸惑っている女性が増えています。そこで、若手社員がキャリア形成をあきらめてしまうケースも少なくありません。
このような状況に対して、目指すロールモデルの存在や先輩社員がアドバイスすることで、仕事と家庭を両立し、キャリアアップに取り組むためのヒントを得られます。
ロールモデルの設定は、その人の生き方や行動に影響を与えるとともに、社会的な価値観を形成するうえでも重要な役割を果たします。ここでは、ロールモデルが与える影響と効果について3つ紹介します。
ロールモデルを設定することで、社員のモチベーションが高まり、スキル向上につながります。さらに、社員がより高い目標を設定し、達成することで、企業の成果やビジネス成績を向上できます。
また、ロールモデルを通して、目指す行動や価値観がほかの社員に伝わることで、模範的な企業文化が形成されます。ロールモデルとなる人が理念に基づく行動を取ることで、社員は企業の理念や文化をより深く理解し、共有できるでしょう。
ロールモデルを設定することで、その人物が持つ素晴らしい価値観や能力に触れ、自己肯定感が向上する効果があります。自己肯定感が高まることで、自分に自信を持ち、自己実現に向けて努力できるようになります。
ロールモデルは、その人物が持つ価値観や行動が社員の模範となり、多くの人々に影響を与えます。そのため、ロールモデルになる人物が社会的に責任を持ち、自己啓発や社会貢献に努めることで、その人物をロールモデルにしている社員の価値観も好変化することが期待されます。
ロールモデルの存在は、自分自身が目指すべき目標を明確にし、それに向けて行動することを促します。ロールモデルの行動を模範とし、その人物が到達したような成功を目指すことで、自己実現のための目標設定が促進されます。
ロールモデルの設定は、個人だけでなく企業文化の形成にも役立ちます。目指す行動や価値観が社員に伝わることにより、会社全体で統一された企業文化が形成されます。ロールモデルとなる人が理念に基づく行動を取ることで、社員は企業の理念や文化をより深く理解し、共有することができるでしょう。
ロールモデルは尊敬すべき行動や価値観を持っており、その人物の行動などを模範することで自己を向上させられる存在です。しかし、ロールモデルを選ぶ際には注意が必要です。
そこで、より良いロールモデルを導入する方法を、注意点とあわせて紹介します。
自分自身が達成したい目標や価値観に合うロールモデルを選ぶことで、より良い効果を得られます。そのため、ロールモデルを設定する前に、達成したいことを明確にする必要があります。自分がなりたい姿や目指す方向性を考え、その方向性に適したロールモデルを選びましょう。
目的が明確になったら、その目的に適したロールモデルの特徴を洗い出します。例えば、リーダーシップやコミュニケーション能力が求められる場合は、「率先して行動する」や「自分から話題を提供する」といった特徴を抽出しましょう。
ロールモデルがどのような行動や思考をしているかを正確に理解することも重要です。誤解したまま行動すると、本来望む効果を得られず、逆にマイナスの影響を受けることがあります。
目的や求める特徴に合わせて、複数のロールモデルを候補に挙げます。自分が共感できるか、目指す方向に近いか、自分のスタイルや性格に合っているかなどを見ながら選ぶようにしましょう。
自身に合わない行動や価値観を持つロールモデルを選ぶと、模倣することが難しくなり、ロールモデルとしての効果が薄れてしまいます。
まずは、候補に挙がったロールモデルの言動を観察します。また、ロールモデルが困難や課題に直面した際の取り組み方法もチェックしましょう。ロールモデルとの交流は、理解をより深めることができるのでおすすめです。
ロールモデルを選択したら、彼らの良い行動を模倣することが大切です。彼らの行動パターンや生き方を観察し、学ぶことで、自分自身の人生をより良い方向に導くことができます。
ロールモデルを設定した後は、その人物を目標にするのではなく、自分の目的や目標に合わせて適切に応用することが重要です。ロールモデルを選択することは、自分自身の弱点や改善すべき点を見つめ直す機会にもなります。
自分自身の強みや弱みを理解したうえで、選択したロールモデルと比較し、必要に応じて調整しましょう。また、彼らの価値観や行動が自分に合っているかを定期的に確認し、必要に応じて別のロールモデルを選択することも検討します。
なお、目的が不明確な状態でロールモデルを設定すると、ネガティブな比較が無意識に生じる場合があります。対象と比べて自分を卑下したり、自信がなくなる感覚がでたら要注意です。目指す状態を明確にし、再調整を行ってください。
ロールモデルを設定し、導入することは、個人の成長や組織の発展にとって重要な一歩です。ロールモデルを導入した後、企業がどのように活用するかを紹介します。
企業は、ロールモデルの行動を社員に共有し、その行動がどのように社員の業務に影響を与えたかを具体的に示します。これにより、共有を受けた社員はロールモデルの行動を自分の業務に落とし込むことができます。
企業は、ロールモデルによるトレーニングや指導を促進しましょう。ロールモデル自身が、自ら実践してきた手法や知識を社員に伝え、社員のスキルアップに貢献することで、ロールモデル自身が自己効力感を高める効果につながります。
注意点は、ロールモデルの行動が常に模範となるわけではないことを認識することです。社員はロールモデルの行動に先入観を持ちやすいため、ロールモデルの言動を模倣して、社員が望ましくない行動をする可能性があります。
また、企業がロールモデルを設定する場合は、社員が心理的に距離が近いと感じられたり、類似点が多く共感できたりする人物であるかも重要です。ロールモデルと自分がかけ離れていると感じると、逆にモチベーションの低下につながります。
経営者にとって、社員のキャリアパスを考えることは重要な課題です。そのためには、社員の参考となるロールモデルを設定することが必要です。
ロールモデルを活用したキャリアパスを考える機会を社員に提供すると、社員は本質的な欲求である「やりたいこと」を起点に、ロールモデルを通じて現実とのすり合わせを行えます。それによって、自分自身で「できること」「やるべきこと」「やりたいこと」のバランスのとれた自発的な目標を設定できるようになるでしょう。
この記事を参考に、ロールモデルについての理解を深め、社員の成長と企業の発展に生かしてください。
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