目次

  1. ドミナント戦略とは
    1. ランチェスター戦略との関係
  2. ドミナント戦略のメリット
    1. 地域内でのブランド認知度を高められる
    2. 1店舗あたりにかかるコストを削減できる
    3. 経営資源を有効活用しやすい
    4. 地域に合わせて最適化したマーケティングができる
    5. 競合他社に対する参入障壁を構築できる
    6. 物流システムを整えやすい
  3. ドミナント戦略のデメリット
    1. 地域の需要の変化に影響を受けやすい
    2. 自社のチェーン同士でカニバリゼーションが生じる恐れがある
    3. 災害によって大きな損害を受けやすい
  4. ドミナント戦略の成功事例
    1. セブンイレブン
    2. アパホテル
  5. ドミナント戦略の失敗事例
  6. ドミナント戦略の導入時のポイント
    1. 地域内での人口・消費者動向などの立地調査を慎重に行う
    2. 競合他社の分析と差別化の検討する
    3. リスク管理体制を整備する
  7. ドミナント戦略を理解して店舗運営を有利に

 ドミナント戦略とは、チェーンストアなどが限定された地域内に集中して出店(ドミナント出店)し、その地域での高いシェアを狙う戦略のことです。「ドミナント」とは「支配的な、最も有力な、優勢な」を意味する言葉で、ドミナント戦略による出店を「ドミナント出店」といいます。

 ドミナント戦略は、スーパーやコンビニエンスストア、外食チェーンなどで採用されています。例えばスターバックスコーヒーは、千代田区に50店舗以上ありますが、江戸川区と葛飾区には2店舗しかありません(2023年4月現在)。

 このように、広い地域を満遍なくカバーするのではなく、特定の地域に集中して店舗を増やす出店方式をとるのは、多くのメリットがあるからです。

 例えば、同じ地域内に複数の店舗があることで、コスト面では、物流コストや店舗開発コストなどの削減効果が期待できます。マーケティング面では、看板やロゴの入ったカップ・袋などが頻繁に消費者の目に留まることで、認知度の向上やブランドイメージの浸透につながります。その他にも労務管理における効果や、ライバル企業の出店抑止効果などがあるといわれています。

ドミナント戦略とは
ドミナント戦略とは(デザイン:浦和ゆうすけ)

 ドミナント戦略の考えの基となっている戦略として、「ランチェスター戦略」が挙げられます。

 ランチェスター戦略とは、組織や企業の能力を「人数」×「1人あたりの販売能力」に分解して考える方法のことです。もともとは軍事目的で編み出された戦略ですが、その後ビジネス戦略として体系化されました。

 ランチェスター戦略の戦略のベースとなる考え方として、以下の2つの法則があります。

  • 第1の法則(弱者の戦略):同じ人数であれば1人あたりの能力が高い方が勝つ
  • 第2の法則(強者の戦略):1人あたりの能力が同じならば人数が多い方が勝つ

 ランチェスター戦略では、市場シェアがTOPの企業のみ、第2の法則によって戦略を立てることが推奨されています。つまりTOP企業の強者は規模が大きいので、1人あたりの能力を競合と同じにしたうえで、人数の勝負に持ち込めば勝つことができます。

 一方の弱者は、第1の法則を用いて戦略を立てます。組織全体の人数は少なくても、狭い範囲に集中させ局地戦に持ち込めば強者と同程度の人員を確保でき、そのうえで1人あたりの能力を高めれば勝つことができます。

 つまりランチェスター戦略によると、弱者は戦うべき市場範囲を決めて自社のリソースを集中させ、そのなかで差別化すると、効率的にナンバーワンを目指すことができるというわけです。この考え方が、ドミナント出店の戦略における「限定された地域に集中して出店し、そのなかでTOPシェアを狙う」という方針につながります。

 なお、限定された地域内でもTOPシェアになれば、今度はその地域での強者の戦略をとります(TOPシェアをとったら第1の法則から第2の法則へ移行していく)。その際、同エリアにおいて、競合が弱者の戦略を用いて差別化を図ってきた場合は、競合がとった差別化の戦術を模倣し、1人あたりの能力差をなくすことがセオリーとなります。競合が仕掛けてくる弱者の戦略に対してきっちりと対策できていれば、あとは規模の勝負に持ち込めるので、その地域では勝ち続けられると考えられます。

 上記のように、ドミナント戦略の成功法則は、ランチェスター戦略を知ることでより理解が深まります(参照:『決定版 ランチェスター戦略がマンガで3時間でマスターできる本』)。

 ドミナント戦略の主なメリットは以下のとおり、6つ挙げられます。

  • 地域内でのブランド認知度を高められる
  • 1店舗あたりにかかるコストを削減できる
  • 経営資源を有効活用しやすい
  • 地域に合わせて最適化したマーケティングができる
  • 競合他社に対する参入障壁を構築できる
  • 物流システムを整えやすい

 ドミナント戦略によって特定地域に多店舗を設けることで、自社がその地域に住む人の目に留まる機会を増やすことができます。地域に住む人は直接お店を見るだけでなく、ロゴの入ったカップやお店の袋を持った人を見る機会も多くなるので、ブランドとの接点が増えます。

 1人が持っていただけでは気にならなくても、複数の人が持っていると「最近あのロゴが入ったカップ持ってる人多いなぁ、人気のコーヒー屋さんなのかな」と気になることもあるでしょう。地域で話題に上がる頻度が増えると、認知度の向上やブランドイメージの浸透によい効果をもたらします。

 ドミナント戦略を導入すると、次に挙げるようなコストの削減が期待できます(参照:ニッセイ基礎研所報Vol.3 「チェーンストアにおけるドミナント出店戦略の経済分析」p.55|ニッセイ基礎研究所)。

①物流コスト

 物流コストとは、商品の配送や梱包、管理にかかる時間や費用のことです。ドミナント戦略を導入すると、限定された地域にお店が集中するので、物資の配送ルートを効率化しやすく、配送にかかる時間や費用を抑えることができます。また、物資の倉庫の集約も可能になるので、サプライチェーンにかかるコストが削減されます。

②広告コスト

 一般的に、テレビ・ラジオのCM、折込チラシなどのマス広告は展開するエリアによって料金が決まるので、地域内の店舗数は費用に影響しません。そのため多店舗展開している地域で広告を行えば、一店舗当たりの広告コストを抑えることができます。

③店舗開発コスト

 店舗開発コストとは、新店舗を出店する際の調査などにかかる労力や費用のことです。新しく店舗を出店する際は、事前に調査を行って立地が相応しいかを調べる必要があります。具体的には、地域内の時間帯ごとの人口や、住人・通勤する人の収入状況、ニーズや好み、あるいは競合の情報などを集めて分析します。こうした調査には労力と時間がかかりますが、店舗を同じ地域に集中させる場合は調査を一度に行えるため、その労力とコストを削減することができます。

 ドミナント戦略は、経営資源を有効活用しやすいというメリットもあります。経営資源における効果としては、「労務管理の面」と「商品や材料の在庫管理の面」という2つの側面での効果が挙げられます(参照:ニッセイ基礎研所報Vol.3 「チェーンストアにおけるドミナント出店戦略の経済分析」p.55~56 |ニッセイ基礎研究所)。

①労務管理における経営資源の有効活用

 ドミナント戦略によって複数の店舗を密集させると、必要な人員を柔軟に配置しやすくなります。例えば、ある店舗の隣で大きなイベントがあって混雑が予想される場合には、近隣店舗から応援人員を出してもらうなど、融通を利かせることができるでしょう。

 また、複数の店舗が密集していると、チェーン店舗の経営マネジメントを行うスーパーバイザーも効率よく複数の店舗を廻ることができます。そうすれば、移動時間にかかる分の時間を、お店の相談に乗ったり指導をしたりする時間として使えるようになります。

 さらに地域内での知名度が向上することによって、雇用にもポジティブな効果があるとされています。

②在庫管理における経営資源の有効活用

 店舗が密集していると、ある商品が売り切れになった場合に、在庫が残っている店舗から商品を移動させやすくなります。逆に在庫が残ってしまいそうな場合には、来店者数の多いお店へ移すなどの対応もスムーズに行なえます。ドミナント戦略は、このような柔軟な在庫管理を通して、販売機会の損失を防いだり、無駄を減らしたりする効果も期待できます。

 ドミナント戦略によって決まった地域に集中出店することで、その地域のエキスパートとなり、独自のニーズに合わせた商品開発・価格設定・サービスを展開できます。

 具体的には、複数の店舗から取得したデータで地域特性を分析したり、地域行事などの細やかな情報を入手したりすることで、消費者のニーズに合った店舗運営ができるようになります。これは差別化の大きな源泉となり、その地域での存在感を強めることにつながります。

 通常の出店方法におけるマーケティングの場合は、店舗ごと(地域ごと)にマーケティング調査を行わなければならず、それに伴う負担が生じますが、複数の店舗で1つの地域のマーケティングに対応すれば、一店舗あたりのコストを下げることができるでしょう。

 集中した多店舗展開によって自社が地域内の高いシェアを獲得した場合、競合企業としては新規参入に関して慎重にならざるを得ません。なぜなら、自社の店舗によってすでに地域のニーズが満たされていれば、競合企業としては新規参入をしても大きな成功は見込めないと考えるからです。

 ドミナント戦略によって地域における自社のブランディングが確立すれば、競合との価格競争も起こりづらくなります。結果として高い販売価格を設定することができ、利益を安定・拡大させることにつながります。

 さらに1店舗あたりのコスト優位性も高い状態であれば、競合が新規参入しても優勢となるのは困難です。また、さきほどランチェスター戦略の章で紹介した「強者の戦略」をとり、かつ競合の差別化要因を真似してしまえば、さらに競合の参入が困難になります。

 なお、店舗の形態や品ぞろえが違えば必ずしも後発企業が劣勢とは限らず、新規参入を完全に防げないので注意しましょう。

 地理的に限定されたエリア内に店舗を集中させることで、物流を効率化できます。特に本部が各店舗に商品を届けるような業種では、効率的な物流ネットワークは大きなアドバンテージになります。

 このことは単に物流コストを削減するだけでなく、商品の新鮮さを保ち、商品の価値の向上にもつながります。また、需要状況に応じて柔軟な出荷対応ができるようになり、商品の廃棄ロスを減らせるようにもなります。

 例えばセブンイレブンが展開している「消費者が求める商品を、必要な量で確実に配達する」物流体制は、ドミナント戦略によって店舗が集中していることを背景に進められてきました。 地域内に専用工場を作り、そこから各店舗に配達することで保存料ゼロなども可能にし、健康ニーズへも応えることを可能にしました(参照:『フランチャイズ・チェーン市場における動学的出店戦略』)。

 ドミナント戦略には、メリットだけでなく、以下のようなデメリットがあるため、それを理解しておくことが重要です。

  • 地域の需要の変化に影響を受けやすい
  • 自社のチェーン同士でカニバリゼーションが生じる恐れがある
  • 災害によって大きな損害を受けやすい

 同じ地域に複数の店舗があり、その地域で需要が下がるようなことが起こった場合は、すべての店舗が影響を受けてしまいます。

 例えばある地域に多店舗展開をしているカフェは、その地域にある大企業や大学が移転すれば、地域人口が減少するため、カフェの利用率が一気に減ってしまう可能性があります。

 また強力な大型店舗が出店してきた場合に、一気に顧客を奪われる危険性もあります。

 同じ地域内で店舗を増やすことで、「カニバリゼーション」が起きてしまうことがあります。「カニバリゼーション」とは、マーケティング用語で、自社の商品や事業がシェアを奪い合うことを指します。

 例えば、近隣地区に同じチェーンのお店ができることで、それまで既存店舗を利用していた顧客が、家や職場により近い新店舗に行くようになる可能性があります。

 この場合でも、すべてが直営店舗であれば、1店舗あたりの売り上げが多少下がっても問題ありません。なぜなら、地域全体でみて顧客の総数が拡大したり、1人あたりの購入回数・金額が増えたり、あるいは1店舗あたりの運営コストが下がったりすることで、利益を増やせるためです。

 ただしフランチャイズの場合は、売り上げに応じて店舗オーナーの収入が変わってくるため、同じチェーンであってもライバル同士です。この場合は、同じチェーンで顧客の奪い合いが発生してしまうリスクがあります(参照:『コンビニエンスストアにおけるドミナント出店に関わる問題の検討』)。

 地震や集中豪雨災害などで地域全体がダメージを受けてしまうようなことがあった場合に、店舗すべてが被害を受けるリスクがあります。長期間にわたって売り上げが立たなかったり、修繕の費用が多額になったりすることもあります。

 店舗そのものがダメージを受けなくても、物流に混乱が生じたり、その地域一体で消費マインドが落ち込んだりして、複数の店舗で同時に売り上げが減少するリスクもあります。

 セブンイレブンは2023年4月現在で全国に21,397店舗あり、日本で最も店舗数の多いコンビニエンスストアです。そんなセブンイレブンの第1号店は、1974年5月に東京都でオープンした豊洲店でした(参照:国内店舗数|セブンイレブン)。

 1号店をオープンした頃、新規店舗出店の方針は「江東区から出るな」というものだったそうです。ドミナント方式によってセブンイレブンが地域の人の目に触れる機会を増やすとともに、広告宣伝や店舗サポートも集中して行ったといいます。

 その後もセブンイレブンは高密度集中出店を進めていきます。店舗立地が集中していることを背景に、専用工場を作り、販売時間に合わせた配送を行うことで、フレッシュな商品の提供を実現しました。

 また地域に根差した店舗展開を進め、新しい商品などの開発においてもエリア限定でのテスト販売を実施するなど、強みを活かして成長を続けています(参照:セブン&アイの挑戦|株式会社セブン&アイHLDGS)。

 アパホテルネットワークは、2023年現在も勢いよく成長をし続ける、全国最大のホテルチェーンです。そんなアパホテルが2010年に発表した『SUMMIT5』という中期5カ年戦略では「一点突破・全国展開」というスローガンが掲げられ、千代田区、渋谷区、新宿区など5区を中心とした集中的なホテル建設が行われました。地域内でのシェアが高まればブランド力も高まり、そのエリアで強い地位を確立することができます。アパホテルもまたドミナント戦略を上手く活用して成長した企業です。

 2023年5月現在、アパホテルは広島市内に2棟を同時着工をしていており、完成すれば、すでに開業中のホテルや計画中のホテルもあわせると広島市内に5つのホテルを運営することになります。アパホテルのWebサイトには、「広島駅」周辺はビジネス需要も盛んで、かつ訪日外国人にも人気が高く、交通の要所でもあることから、重点エリアと位置付けてドミナント出店を行う計画が記されています。

 2020年から始まった中期5カ年計画『SUMMIT5-Ⅲ』では、総客室数15万室を目標に掲げ、将来的には「国内シェア20%」という圧倒的なNo.1を目指しています(参照:50th APA GROUP ANIVERSARY  APA世界戦略|APA GROUP)。

 ドミナント戦略を進めていたものの、自社内での店舗競合が発生し、戦略を見直した例もあります。

 いきなり!ステーキは2013年12月に第1号店をオープンし、その後は年間30~50店舗のペースで店舗数を拡大していきました。当初は都心を中心にして比較的小さい店舗形態で出店し、競合よりも高い席回転率を確保することで高い利益を得ていました。

 しかしその後の過剰出店により、既存店舗とのカニバリゼーションが起こってきます。2019年頃には、既存店の1店舗あたり来客数は減少し、店舗ごとの売り上げ(既存店売り上げ)も75%ほどに下がってしまいました。それに伴って利益は悪化し、営業利益は前年比で大きく減少していきます(参照:2019年12月期第2四半期決算説明会 p.2,5,6|株式会社ペッパーフードサービス)。

 2019年度の決算に伴う資料では、急速な店舗数拡大によって自社内で競合が発生した反省から、今後は出店用地を慎重に精査して決定することや、それまでの方針を変え、直営店・フランチャイズ加盟店ともに40店舗以上を退店する計画が発表されています(参照:2019年12月期 決算説明会 p.26|株式会社ペッパーフードサービス)。

 また、既存店のてこ入れを行うことも発表されました。店舗数の急拡大はカニバリゼーションの問題だけでなく、既存店舗での成長戦略が手薄になってしまったり、人材育成が追いつかなかったりする問題もあったようです。そこで既存店のメニューの改定や、研修センター店を活用して社員の調理技術・接客レベルの向上に努めるとしています(過剰出店による営業利益の減少が顕著に現れた2019年頃の施策です)。

 このように「出店すること」に集中するあまり出店判断が甘くなったり、既存店の成長や人員確保が手薄になってしまったりすると失敗につながっていきます。

 ドミナント出店戦略に際しては、しっかり立地調査を行って戦略を立て、リソースの確保を行い、出店後も慎重に推移を見守りながら、状況に応じて柔軟に計画を見直していく必要があります(参照:中期経営計画書2020年7月31日|株式会社ペッパーフードサービス)。

 では、ドミナント戦略を導入する際はどのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。ここでは以下の3つのポイントについて解説します。

  • 地域内での人口・消費者動向などの立地調査を慎重に行う
  • 競合他社の分析と差別化の検討
  • リスク管理体制を整備する

 ドミナント戦略で出店する際には、その地域のポテンシャルとリスクを把握するために商圏調査を十分に行う必要があります。失敗すると複数の店舗が影響を受けるため、調査は慎重に行いましょう。

 具体的にはまず人口推移を調べ、人口が安定または増加している(増加の見込みがある)地域を選びます。続いて競合店、近隣の自社店舗との距離、あるいは今後の自社店舗の出店予定などから来客数の予測を行います。このときの調査では、自社内でのカニバリゼーションを最小限に抑えられるよう、地域内の店舗数や立地も慎重に検討する必要があります。

 気をつけたいのは、自社よりも大きな母体のチェーン店がドミナント戦略を実施している場合です。前述のランチェスター戦略に則ると、強者は2位以下のプレイヤーの真似をすることで勝ち続けられます。そのため、すでに強者がいる地域に後から入っても多くの困難が伴うでしょう。

 ある地域でドミナント出店する際には、その地域でNo.1になれるように、競合との差別化ポイントを明確にすることが大事です。

 そのためには地域特性を丁寧に把握する必要があります。エリアに多い年齢層や職業、家族形態、平日と休日で主に人々が活動する時間帯などを調べていきます。データを調べるだけでなく、その土地で実際に観察をしたり、あるいはインタビューなどによって具体的なイメージを掴んでおいたりすることも大事です。

 全国チェーンの店舗が画一的なサービスを展開しているところに、地域ならではのニーズにマッチした特色のあるサービスを展開することは、ドミナント戦略を成功させる肝になります。

 また、差別化を検討する際は、競合他社についても徹底的に調べることが大事です。提供している商品やサービス、店舗サイズや設計、広告やプロモーション、客層などを把握することで、自社がどのポイントで差別性を強化すべきかを検討できます。

 ドミナント戦略では、何か悪いことが起こった際には一度に複数の店舗が影響を受けるため、リスク管理がより一層大事になります。

 具体的には、出店する地域での需要の推移、競合の出店状況などを常にチェックしておくことが重要です。地域内や近隣エリアに新しい施設ができれば人の流れが変わることもあるので、情報のアンテナを高く持っておく必要があります。

 また、リソース不足になるリスクを防ぐことも重要です。特に飲食業やサービス業では、人材確保ができなければビジネスの継続が難しくなります。ドミナント戦略で一気に出店を進める場合、雇用と人材育成の計画を事前にたてることが大事です。

 加えて、顧客からの評判にも敏感になる必要があります。地域内に多くの店舗があれば話題に上がることも多くなります。万が一にも悪い口コミが広がれば、すべての店舗に影響してしまいます。また働く従業員は地域の住人であることも多いため、従業員からも愛されるお店になることが大事です。

 ドミナント戦略は、店舗をチェーン展開する際には知っておくべき大事な戦略です。成功すれば大きな利益につながり、また地域にとってなくてはならないお店として長く愛される存在になっていくでしょう。

 しかし、ドミナント戦略にはさまざまなメリットがある一方でデメリットもあるため、綿密に計画し、その計画に基づいて慎重に取り組む必要があります。

 また、自社の店舗は地域に1店舗しかなくても、その地域にドミナント戦略を展開してくる競合他社が現れることも考えられます。そうした状況に備えて、ドミナント戦略について理解を深め、戦い方を検討しておくことは有意義でしょう。この記事が参考になると幸いです。