目次

  1. 非製造業の人手不足が深刻に
  2. 仕事選びの基準が変化
  3. 人的生産に依存しない改革が必要に
  4. 睡眠の専門スタッフがアバター接客
  5. コンビニの遠隔接客で働き方も変化
  6. 圧迫感を緩める遠隔接客
  7. 接客業務を効率化する意義

 ようやくマスクを取る通勤者が増え始め、コロナ禍の収束が見えてきました。3年間、特に一般消費者(toC)を顧客とする小売り・サービス業界は環境変化への適応を余儀なくされました。この連載では、小売り・サービス業界といったtoC企業で、アフターコロナ時代の生き残りをかけて挑戦している取り組みを取り上げ、toC企業の経営者の皆様へ夢と希望を届けたい、という想いで執筆したいと思います。

 日本銀行の全国企業短期経済観測調査(23年6月)を見ると、非製造業の人手不足が顕著です。人員が「過剰」と答えた割合から「不足」とする割合を引いた雇用人員判断DIは、中小企業の非製造業でマイナス43となり、製造業のマイナス21と比べて人手不足が深刻であることがうかがえます。さらに先行きも尋ねると、中小企業の非製造業はマイナス48という結果で、人手不足解消の見通しも立ちません。

 新型コロナが5類に移行しても、小売り・サービス業の人手不足解消は厳しい状況と言えます。

 もともと、小売り・サービス業では、生産工程のほとんどを人的作業に依存しています。例えば、飲食業では来店客の案内、注文、配膳、精算などの接客や料理の仕込み、調理、皿洗い、床掃除などのキッチン業務、さらには、資材調達、在庫管理などのマネジメントに至るまで、工程のほぼ全てがマンパワーで支えられています。同様に人的作業の依存度が高い業種としては、宿泊・観光業や運輸業や建築業(現場作業)があります。

 小売り・サービス業は利益確保のために、原価に当たる人的生産部分をいかに安く抑えるかに苦慮してきました。外食業では、FLコスト(食材仕入れコストと人件費コスト)を経営指標として管理しています。シフト人数を抑制するワンオペ問題や外国人労働者の積極的な起用などは、人件費の抑制を図ろうとするが故の事象とも言えます。

 ところが、コロナ前の「企業が就業者を選ぶ」時代から、コロナ後は「就業者が企業を選ぶ」時代へと変化しました。就業者の仕事選びの基準が変わってきたからです。

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