目次

  1. 「女性版骨太の方針2023」とは
  2. 「母性神話」をなくすには
  3. 反論しにくい取引先のバイアス

 「女性版骨太の方針」は、女性が社会で活躍する環境整備のため、政府の男女共同参画会議が毎年6月に決定している目標や取り組みです。ここで決まった方針は各省庁の予算にも反映されます。2023年版では、中小企業に関して次のような方針が盛り込まれました。

  • 中小企業向け補助金において、女性活躍や子育て支援に取り組む企業を優遇していく
  • 企業の経営者に向けた研修用のコンテンツにより、アンコンシャス・バイアスを解消し、行動の変容を促す
  • 地域金融機関を通じた女性経営人材のマッチング支援を進める
  • 女性活躍にとりくむ中小企業の好事例を横展開する

 この中で示されている「アンコンシャス・バイアス」とは、「家事・育児は女性がするべきだ」、「組織のリーダーは男性のほうが向いている」といった、性別による無意識の思い込みのことを指します。こうした思い込みが、中小企業における女性の活躍を阻んでいるとして、政府も解消を目指しています。

 実際の経営の現場では、どのようなアンコンシャス・バイアスが存在しているのでしょうか。またそれを解消するために、どんなアクションが必要でしょうか。女性経営者ら12人が、自身の経験や自社での取り組みをもとに話し合いました。

 女性の事業承継をサポートしている行政書士の山下絵理さんは、「日本では母性神話が根強くあり、海外にくらべて女性が働きにくい原因になっている」と指摘。共働き家庭で子どもが熱を出したとき、女性ばかりが仕事を休まなければいけないような傾向があるとして、「母親なんだから子供を優先して当たり前、自己犠牲イコール母性、みたいな風潮がいまも根強く残っている。その認識が変わらないかぎり、女性活躍といくら言っても難しいと思う」と問題提起をすると、他の参加者からも共感の声が多く上がりました。

 「仕事に対する責任感は男性でも女性でも同じ。でも『母親のほうが仕事を我慢して休まないといけない、育児をやらなければいけない』という無意識のバイアスを男女両方が持ってしまっている」

 文房具やオフィス家具の商社であるオカモトヤの社長・鈴木美樹子さんは、こうした「母性神話」を職場でなくすためには「男性の育児休業がいちばんてっとり早い」と、自身の会社での取り組みを紹介しました。

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