目次

  1. タクシー会社が始めた「踊るおじさん」
  2. 平均年齢が10歳以上若返った
  3. 職人の素朴な語りをTikTokに
  4. Z世代は「社内の雰囲気」を重視
  5. 採用につなげるための注意点は

 三和交通は、神奈川県を中心にタクシー・ハイヤー事業を展開しています。従業員は約1400人、保有車両は約600台と全国7位の規模。乗務員の年齢層が高くなってきたことを背景に、若年層の採用増加に向けたプロモーションの手段として、19年からTikTokを始めました。

 仕掛け人となった溝口さんは、最初は自分の個人アカウントで試してみたそうです。

 「それまで(会社の)FacebookやYouTubeでは、再生回数があまり伸びませんでした。そんなとき、お笑い芸人・野性爆弾のくっきーさんが出ているTikTokのCMをたまたま見て、『15秒の短い動画だし、これなら私にもできるんじゃないか』と思ったんです。まずは自分の個人アカウントで、自分で踊っている動画を投稿してみました。一晩たって目が覚めたら動画の再生回数がはねていて、コメントでも若い人からの反応が多くあったんです。これは採用活動でもいけるんじゃないかと社長に打診したところ、OKが出たので、会社のアカウントで発信を始めました」

 投稿される動画は、ぽっこりおなかを強調したワイシャツ姿の溝口さんが、K-POPなどのヒット曲に合わせてコミカルに踊るというもの。おじさんが軽快に踊るという意外性やインパクトが反響を呼び、ヒット動画が多数生まれました。

@sanwakotsu

一人で流行りに乗ってみましたが何か変じゃないでしょうか⁉️あああああ足が短かっただけか~#マンホールの上はダンスホール #三和交通 #毎日tiktok #踊るおじさん #fypシ

♬ オリジナル楽曲 - もりせいじゅ(足元におてもと) - もりせいじゅ🥢(足元におてもと)

 「おじさんがただ踊ってるだけで、ちゃんとしたダンスにはなっていないんですけど、これがいいみたいで」

 溝口さんがマンホールの上で踊った21年7月の動画は最大のヒットとなり、再生回数770万回を記録。23年7月現在、三和交通のTikTokアカウントのフォロワー数は約21万人となっています。テレビやウェブニュースでも取り上げられ、広告費換算で5億円以上の効果があったそうです。

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