目次

  1. オリーブやみかんの段々畑にたたずむ工務店
  2. 「のんびり島暮らし」にもの足りなさ 
  3. 職人に仕事を依頼できず焦った日々
  4. 移住者の住まいの相談役 瀬戸内国際芸術祭の作品も
  5. 3年後に迫る職人の定年退職 小豆島で協力関係を模索
  6. 今後やりたい古民家のリノベーション・作業場の開放

 人口約2万6000人、約4割が高齢者の小豆島は、適度なインフラが整備されていること、産業の規模感、地形などから日本の縮図のようだと言われています。みかん畑やオリーブ畑が広がる地区にあるマル喜井上工務店は、井上さんの父が1989年に創業しました。現在は井上さんと父、母、従業員の4人で運営しています。年商は約1億円。

マル喜井上工務店のある集落からの眺め

 家を建てるとき、小豆島の工務店の多くがそうであるように、1社で土木作業から、大工仕事まですべてを担います。最近では新築よりもリノベーションの受注が増えてきました。

 井上さんは高校卒業後、大阪の専門学校でインテリアデザインを学び、卒業後20歳のころに高松市内の店舗内装会社に就職。25歳までは店舗内装の現場監督の仕事で、日本各地を転々とする暮らしをしていました。

 その後、高松市内のキッチンメーカーで企画営業職を3年ほど勤めたのち、28歳の時に実家に帰ることになりました。父親が脳梗塞で倒れ、兄は島外で暮らしていたので、井上さんが現場に出るしかなかったのです。

 「父が倒れて旗振り役がいないので、やるしかないという気持ちでした」

 とはいえ、突然戻ってきたので状況が分かりません。幸いにして、当時2人いた従業員は子どものころからよく知る間柄でした。そこで、従業員にどこと取り引きしているのかを聞いたり、取引先に分からないことを聞いたりしながら、現場監督として作業を進めていきました。

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