目次

  1. 8.7坪の店から21店舗へ
  2. 夢破れ「次こそメジャーに」
  3. 人に恵まれ「猿田彦珈琲」が誕生
  4. 客をつかんだ「ゲーゲンプレス」
  5. スタッフとすり合わせた価値観

 猿田彦珈琲は2011年6月、「たった一杯で、幸せになるコーヒー屋」というコンセプトを掲げ、恵比寿に開業しました。8.7坪からのスタートでしたが、ハンドドリップやエスプレッソマシンで淹れる高品質なコーヒーと、地域密着型の接客で着実にファンを増やしています。

 「開業当初、本格的なコーヒーを楽しめる高価格帯のお店は職人気質の方が多く、フレンドリーなお店はほとんどないと感じていました。入りやすい空間、明るい雰囲気でおいしいコーヒーが飲めるお店を作りたいと、猿田彦珈琲を立ち上げました」

2017年にオープンした初の焙煎所併設店「猿田彦珈琲 調布焙煎ホール」(同社提供)

 13年からはコーヒー豆の自家焙煎(ばいせん)を手がけ、その後、エチオピアやブラジルなど数カ国とのダイレクトトレードを実施。自社で生豆の調達から焙煎、抽出の工夫まで一気通貫で行っています。

 大塚さんは「創業当初はコーヒー豆を他店から卸してもらっていましたが、もっとお客様の反応を良くしたいと、焙煎や生豆の調達に行き着きました。高いクオリティーのコーヒーを実現するには、勉強と実験の機会を増やさねばなりません。生豆の仕入れ量を増やさないと、技術開発の底上げにはつながらないと考えました」と振り返ります。

 同社が扱うコーヒー豆の焙煎は、すべて17年に開業した東京・調布市の「猿田彦珈琲 調布焙煎ホール」で引き受けています。店舗も兼ねており、コーヒーを楽しみに訪れた客も大型の焙煎機をガラス越しに見られます。

大小4台の焙煎機が並ぶ焙煎工房。ガラス張りのため客席からもよく見えます

 現在は21店舗を構え、アイスクリームショップやベーカリーなどを併設する店も展開しています。従業員数は408人(23年7月末時点、役員・アルバイトを含む)の規模になりました。

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