目次

  1. 祇園・南座を飾る京提灯を製作
  2. 「受け身」の経営に危機感
  3. 新ブランドをたちあげるが…
  4. スープストックトーキョー創業者との出会いが転機に
  5. ユニクロやSupremeともコラボ
  6. 海外の美術館で行列が
  7. 海外からの依頼が半数に
  8. 兄弟の挑戦に父も理解

 小嶋商店の創業は、江戸・寛政年間(1789~1801年)。神社や飲食店の軒先に灯される提灯作りを長く手掛けてきました。多くの観光客が行き交う祇園・南座の正面玄関を飾る巨大な提灯も、小嶋商店が製作しています。

日本最古の劇場、南座の大提灯。毎年12月、顔見世興行の際に掛け替えられる

 京提灯の特徴は「地張り式」と呼ばれる製法。竹で作った輪を1つひとつ糸で繋いで、丸い骨組みを作ります。長い竹ひごをらせん状に巻いて作る、他の製法に比べて手間はかかるものの、丈夫で長持ちするのが特長です。そのため、屋外で使われる提灯に適しています。

 兄弟は2人とも18歳で、工房に入ります。提灯を作る祖父や父の姿をずっと見てきたので、自然な流れで提灯を作るようになったと言います。

 「他の道は考えなかったので、今思えば、小さい頃から提灯づくりが『かっこいい』と映っていたんだと思います」

 2人は工房で技術を磨きつつも、経営に危機感を覚え始めます。当時、全国の神社や問屋から注文はありましたが、基本的には「受け身」の態勢。自分たちで売り上げや販路をコントロールできず、元請けからの注文がなくなれば一気に経営が苦しくなる状態でした。

小嶋俊さん(左)と諒さん(右)=小嶋商店提供

 兄弟は「下請けだけでは食べていけない。生き残るためには、何かをしないと」という意識を強くしました。当時、結婚を考えていた俊さんは、「これでは、家族を養っていくのは無理だ」と、より焦りを感じていました。

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