目次

  1. おかみ自ら合同就職説明会へ
  2. 同業他社と新人合同研修
  3. 人事評価制度を改善
  4. 子育て社員が働きやすい配慮も
  5. コロナ禍で売り上げ3分の1以下に
  6. 休校中の児童生徒に「寺子屋」
  7. スタッフを疲弊させずにおもてなし
  8. 日本一の接客で「四方よし」に

 天保元(1830)年創業の綿善旅館は、大手銀行出身の雅世さんが若おかみとして入社後、観光庁の「生産性向上モデル事業」の対象に選ばれ、IT化や業務効率化、マルチタスクの推進などの改革に取り組みました。その成果の一つが、宿泊業界では珍しく、週休2日制の会社と同じ数の休日を取れるようになるなど、働き方が変わったことです(前編参照)。

 社員が働きやすくなったことで、採用にも好影響がありました。まとまった休みが取りにくいこともあって宿泊業界は近年、人手不足が深刻ですが、綿善旅館では2019~23年に1~4人だった内定者の人数と入社人数がほぼ同じなのです。

 旅館のウェブサイトにはスタッフ紹介のページを設け、一人ひとりの趣味や休日の過ごし方などを載せています。これらを見て、「こんな人たちと働きたい」と応募する人が多いそうです。

 さらに大きいのは、雅世さんが積極的に地元の合同就職説明会へ足を運ぶようになったことです。説明会にはなるべく若手スタッフも連れて行き、年が近い社員が学生に良いことも悪いことも本音で話すようにしています。職場のイメージと、決して楽ではない旅館の実際の仕事とのミスマッチを防ぐためです。

雅世さん自身が毎回出席している合同就職説明会(綿善旅館提供)

 2019年からは雅世さんが京都府の「就職特命大使」に就任し、就職説明会で訪れた学生の人生相談のようなことも引き受けています。もちろん綿善旅館や宿泊業界ではなく、他業種の企業を勧めることもあるそうです。

 綿善旅館に若者が入社した後のフォローも念入りに行っています。

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