目次

  1. 日本人の口に合うふっくら・しっとりのあんぱん
  2. 28歳で7代目社長「喫緊の課題が怒濤のように」
  3. 立て直し支えた先輩経営者の助言と家族の「大丈夫よ」
  4. リストラは「身を切られる思い」 マニュアル化に反省
  5. 経営の合理化で黒字化は達成したものの……
  6. 「あんぱん1個の値段は地下鉄の初乗りと同じ」
  7. マニュアル化できない部分が多い仕事だからこそ
  8. 磨き続けた技術から生まれる新商品・新ショップ
  9. 「おいしさは喜び」で150年

 木村屋總本店(木村屋)が創業したのは、1869年(明治2)年。初代・木村安兵衛が現在の港区芝にパン屋の「文英堂」を開いたことからその歴史は始まります。

 翌年、銀座に移転した木村屋の名を全国区にしたのは「あんぱん」でした。

 イースト菌がない当時、パンは固く、酸味があるものが中心でしたが、安兵衛と息子・英三郎はこれを日本人向けに改善しようと試みます。彼らは酒饅頭を作る時に使う酒種に着目し、1874(明治7)年にふっくら・しっとりとした生地のあんぱんを作り上げました。

看板商品の「酒種あんぱん」は、1874年以来、販売が続けられている。使われている酒種発酵種は種師が管理し製造が受け継がれている

 「1875年(明治8)年、東京向島の水戸藩下屋敷を行幸された明治天皇ご夫妻が私たちの酒種桜あんぱんを召し上がり、“引き続き納めるように”と両陛下からお言葉をいただいたことから、多くの人に知られるようになったそうです」

 この献上した4月4日は“あんぱんの日”として記念日にも制定されています。

 「当時、パンにあんを入れるという発想は、独創的でした。以降も、美味しいパンを食べていただきたいという思いは強く、これまでに、ジャムパン、うぐいすパン、むしケーキなど、これまで日本になかったパンを生み出してきました」

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