偽のウイルス警告の体験で感じた「まず相談」の大切さ 消費者庁も注意喚起
「ウイルスが見つかりました」「あなたのパソコンは危険です」などといった偽の警告がパソコンに表示され、驚いて指示にしたがったところ多額の送金をさせられてしまったーー。そんなトラブルの相談が多く寄せられているとして、消費者庁が注意喚起をしています。実際に筆者のパソコン画面にも表示され、自分でも思っていた以上に動揺する出来事となりました。実体験をもとに、被害に合わないためのポイントや、偽の警告の特徴を紹介します。
「ウイルスが見つかりました」「あなたのパソコンは危険です」などといった偽の警告がパソコンに表示され、驚いて指示にしたがったところ多額の送金をさせられてしまったーー。そんなトラブルの相談が多く寄せられているとして、消費者庁が注意喚起をしています。実際に筆者のパソコン画面にも表示され、自分でも思っていた以上に動揺する出来事となりました。実体験をもとに、被害に合わないためのポイントや、偽の警告の特徴を紹介します。
目次
筆者は10月、仕事のため自宅でパソコンを起動してWi-Fiに接続し、ブラウザを立ち上げました。すると、ウイルス対策ソフトを手掛けるマカフィーの赤いロゴとともに、「ウイルスが見つかりました」「今すぐMcAfeeでデバイスを保護してください」といったポップアップが立て続けに表示されました。パソコンは仕事にしか使っておらず、怪しいメールを開いたり、違法サイトにアクセスしたりした心当たりはありませんでした。
警告に怪しさは感じたものの自分だけでは判断に自信が持てず、すぐにパソコンのネットワークと電源を切って、スマホを使い同僚に相談。対処法を教えてもらい、事なきことを得ました。のちのウイルスチェックでも異常は検出されず、警告は偽物であったことが確認されました。
日頃、「この手の偽の警告には自分はだまされない」とたかをくくっていましたが、実際にマカフィーのロゴを使った偽警告が画面上にいくつも表示されると、思った以上に動揺してしまいました。
自宅で周囲にすぐ相談できる人がおらず、直後に急ぎの予定があったことも、焦りを大きくしました。被害にあわないためには、やはり一呼吸おいて誰かに相談するというのが重要だということを実感しました。
消費者庁の公式サイトでも同じような偽の警告について注意喚起が出ていました。具体的な事例は次のようなものです。
ウェブサイトの閲覧をしていると、画面上に「Microsoft」のロゴととともに、「検出された脅威:トロイの木馬スパイウェア」などと記された偽の警告が表示され、警告音が発生。驚いた閲覧者が、「早急にサポートに連絡してください」という画面上の指示にそって「Windowsサポートへのお問い合わせ」などと書かれた番号に電話をかけると、相手は片言の日本語でマイクロソフトの社員であるなどと名乗り、「こちらで復旧作業をします」とパソコンの操作を誘導してくるといいます。
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最終的に、「ウイルス駆除のための費用」などとして、ネットバンキングを通じて数百万円を送金させられたケースもあります。のちに、実際にパソコンは危険な状態ではなく、電話の相手もマイクロソフトとは全く無関係だったことが確認されました。
消費者庁の担当者などによると、こうした相談はマイクロソフトをかたるものだけでも年間1千件以上寄せられており、なかなか数が減っていません。手口も巧妙化しており、近年は違法サイトなどを見ていなくても偽の警告が表示されることが多くあるそうです。
偽の警告には、マカフィーやトレンドマイクロといったセキュリティー会社をかたるものもあり、それぞれ自社サイトで注意を呼び掛けています。
消費者庁は、警告が出た際の対応として下記のようなアドバイスをしています。
「Alt」と「F4」のキーを同時に押し、「このサイトを離れますか」などと表示されたら「はい」とクリックすることで、ブラウザーを終了します。この方法が無理なら、「Ctrl」と「Alt」と「Delete」を同時に押し、さらに画面右下の電源ボタンアイコンをクリックして「再起動」を選択します。これで警告が消えれば、偽物と判断できます。
いずれを試しても偽警告の表示が消えない場合は、独立行政法人・情報処理推進機構(IPA)の情報セキュリティ安心相談窓口(03-5978-7509)に問い合わせてください。
「Microsoftサポート」「Windowsサポート」などと記された電話番号には絶対に電話をかけないでください。消費者庁の担当者も「実在する日本マイクロソフト株式会社やその関係者が、パソコンに警告を表示して消費者に電話をかけるように求めることはありません」と強調しています。
ウイルス駆除費用の名目で金銭を要求される電話があったら虚偽だと疑い、すぐに電話を切りましょう。折り返しの電話にも出ないでください。
パソコンに不信な警告が出たら、家族や知人に相談しましょう。このほか、「消費者ホットライン(電話番号188)」や「警察相談専用電話(電話番号#9110)」等の相談窓口に相談しましょう。 近年は、リモートワーク中で上司やシステム管理者が近くにおらず、自分で解決しようとして被害が発生するケースもあるそうです。
情報処理推進機構が公表している「偽セキュリティ警告における5つの典型的な表示例」によると、偽の警告には次のような特徴があるといいます。類似の警告が出た場合は注意が必要です。
警告画面がいくつも重なって開き、全画面表示で固定され、画面を閉じることができなくなります。
けたたましい警告音や、テクニカルサポートを名乗る警告アナウンスが大音量で延々と流されることがあります。
マイクロソフト、マカフィーなどの企業名やロゴ、またWindowsの警告を偽った表示が繰り返し表示されます。
問合せ先の電話番号が繰り返し表示されます。マイクロソフトのサポート窓口を偽る事例が特に多いといいます。
「今すぐ対応しないと個人情報が流出する」、「無視すると被害にあう」など、ユーザーに切迫感を与えて電話をかけさせうようとするための、焦燥感をあおる表現が目立ちます。
怪しい警告が表示された際や、実際にトラブルにあった場合の相談先として、消費者庁は次のようなところを紹介しています。
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