目次

  1. 贈答市場の縮小で岐路 稲庭うどんのリブランディング
  2. 「切れ端」の有効活用 長さ3cmが寄贈の決め手
  3. 海外事例をヒントに生まれた“稲庭うどん発泡酒”
  4. アップサイクルビール、海外での販路拡大にも

 冬は積雪が2メートル近くにもなる湯沢市で、雪に閉ざされた豪雪地帯の保存食として江戸時代の初期に乾麺が作られたのが、稲庭うどんの発祥とされます。

稲庭うどん

 独特のなめらかな舌ざわりと、つるつるとしたのどごしが特徴で、古くから秋田(佐竹)藩に献上され、近代では皇室にも納品される逸品として扱われてきました。

 製造方法は長く非公開だったため流通量は極めて少なく、「幻のうどん」と呼ばれていましたが、製造方法が1972年に公開されて生産量が増えると、全国的に「高級品」としてお中元やお歳暮など贈答品としての地位を確立していきました。

 1970~80年代の贈答市場の拡大で、湯沢市の稲庭地区では、稲庭うどんを製造する会社が一気に増え、一大地場産業にまで発展していきました。

稲庭うどん小川

 この稲庭うどん産業の成長期のさなかである1982年に稲庭うどん小川が誕生しました。業界内では参入が比較的遅かったものの、原材料に対するこだわりやその品質が評判をよび、年々生産量を増やしながら業界でも上位の販売量にまで成長しました。

 しかし近年は、稲庭うどん業界にも陰りが見え始めています。高級品が好まれやすい「儀礼ギフト」の市場が年々縮小しているのに加え、生活スタイルや食文化の変化により乾麺が食べられなくなってきている現代で、業界は岐路を迎えています。

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