目次

  1. 介護職の賃上げ率が低水準 異業種への人材流出が課題
  2. 2024年介護報酬など改定前に 厚生労働省、介護職を賃上げ 
  3. 補助金の対象職種や補助金額
  4. 補助金申請の流れ

 全国老人保健施設協会などの調査(PDF方式)によると、2023年の春闘の平均賃上げ率は3.69%だったのに対し、介護職員は1.42%と大きく下回り、異業種への人材流出が課題となっていると指摘しています。

 一方で、介護事業所の経営体力には余力がないことが明らかになっています。

 厚労省が公表した2022年度の介護事業経営実態調査によると、光熱水費や食材費の高騰などの影響を受けて、企業の利益率にあたる収支差率は全サービス平均2.4%と前年度から0.4ポイント悪化し、過去最低水準となっているといいます。

 とくに特別養護老人ホームなどの収支差率は2001年の調査開始以降で初めてマイナスとなりました。

 介護職の給与は、基本的に診療報酬や介護報酬にもとづいており、2024年6月は診療報酬だけではなく、同時に介護報酬と障害福祉サービス等報酬のトリプル改定を予定しています。

 厚労省は2024年に報酬のプラス改定を見据えて、改定されるまでの2024年2~5月分について、介護職員などのベースアップの支援加算に上乗せする形で、収入を2%程度(月額平均6000円相当)引き上げるための補助金を設けるべく、2023年度補正予算案に関連予算を計上しました。

 対象職種は、介護職員としていますが、事業所の判断により、他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めるといいます。

 補助金額は、対象介護事業所の介護職員(常勤換算)1人あたり月額平均6000円の賃金引上げに相当する額。対象サービスごとに介護職員数(常勤換算)に応じて必要な交付率を設定し、各事業所の総報酬にその交付率を乗じた額を支給する予定です。

 厚労省によると、補助金を申請するには、まず窓口となる都道府県に対し、申請書(処遇改善計画書)などを提出し、申請する必要があります。

 交付決定となれば、補助率10/10で交付されます。ただし、都道府県からは処遇改善実績報告書の提出が求められるため、要件を満たさない場合は補助金の返還を求められる場合があるので注意が必要です。