目次

  1. 冷凍食品配達をやめ 牛乳配達へ事業転換
  2. 「会社をたたむことを真っ先に考えた」
  3. 「超斜陽産業」に可能性 顧客と対面できる強み
  4. 新社長のプレゼンに従業員が猛反発
  5. 業界初のイベント出店で顧客数が2倍に
  6. 解約相次ぎ サービス改善へ勉強会
  7. 従業員育成へ 価格見直し・配達は週1回
  8. 業務効率化へ DXでリアルタイムに情報を見える化
  9. 70代従業員もタブレットを活用
  10. 対面インフラを生かして困りごと解決サービス

 「明治クッカー」は昔ながらの「牛乳屋さん」です。従業員はパート・アルバイトを含めて70人(2023年11月時点)。大手商品メーカー、明治の特約店として千葉県内に3店舗、茨城県に1店舗を構え、個人宅や事業所に牛乳やヨーグルトを配達する事業を営んでいます。

 初代の西原敏男(にしはら・としお)さんが1973年に高級冷凍食品の配達事業として創業し、一時は千葉県全域に事業を拡大しました。しかし、コンビニでいつでも冷凍食品を買えるようになると事業は縮小傾向に。1990年代後半には倒産の危機に陥ります。

 そこで敏男さんは自身の父がかつて牛乳屋を経営していたことに着目し、1996年、冷凍食品をやめて牛乳配達業へと事業転換しました。

初代・敏男さんの父が戦前から営んでいた「西原牛乳店」。撮影は1940年ごろか(明治クッカー提供)

 2008年、敏男さんは3度目の脳梗塞がきっかけで半身不随となり医師から「余命5年」を伝えられます。敏男さんの妻が専務となり、事業を切り盛りするようになりました。

 息子で2代目の西原亮さん(40)が社長を継いだのは2013年8月1日です。亮さんの社長就任を見届けたかのように、敏男さんはその2週間後に息を引き取りました。

 亮さんは家業を継ぐことはまったく考えていなかったそうです。

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