目次

  1. 教職に付きながら兼業漁師 豊かな海を取り戻すため
  2. 蛤浜の固有文化を知ってほしいとカフェ開業
  3. カフェの人気とは裏腹に「何のために始めたのか」
  4. カフェの営業日減らし 浜の暮らし伝える事業へ
  5. 増えた利用者との交流 利益率も改善
  6. 山を守り海も守る カーボンクレジットを計画中 

 宮城県石巻市から車で約30分。牡鹿半島の付け根に、蛤浜という小さな集落があります。蛤浜在住の亀山貴一さんは、祖父や伯父たちが漁師、父が魚の小売業という、代々水産業に携わる家系の生まれです。

 亀山さんは地元の高校を卒業後、石巻専修大学大学院修了を経て、水産高校の教職に就きます。子どものころ、祖父から何度も、蛤浜がいかに豊かな漁村だったかと聞かされて育ちました。

 しかし、今では豊かとは言えない状況です。

 年々減っていく魚を海に戻すための研究をしながら、漁業権を父から受け継ぎ、”兼業漁師”になりました。また、父が魚の小売業をしていたので、オンラインで魚介類を直接お客様に販売するサービスも展開しています。

 そんな亀山さんに大きな転機が起きました。2011年3月11日に起きた東日本大震災です。

入り組んだリアス式の地形で周囲を山に囲まれ、目の前は太平洋が広がっている蛤浜

 震災により蛤浜は壊滅的な被害を受けます。亀山さんは無事でしたが、妻と妻のお腹の中にいた赤ちゃんは被災し、帰らぬ人となりました。

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