目次

  1. アルバイトを重ねた学生時代
  2. 就職先の理解で経営者修業を積む
  3. 代金回収までのスパンを短縮
  4. 反対を超えて立ち上げた飲食店
  5. 社長就任で重ねた第三者承継
  6. 高齢者雇用で厚労省から表彰
  7. 社員の声を元に車両を開発
  8. 誰も取りこぼさない地域を

 創業335年目の小川商店のルーツは、北前船相手の廻船問屋です。やがて船員相手の宿屋、木材問屋、底引き網船の漁師、鉄道で運ぶ荷の運搬、工事関係者向けの石油販売と、時代に応じて商売を変えてきました。

 現在は、ガソリンスタンドや配達給油などの石油部門と石油を運ぶ運輸部門を軸に、車両の販売や買い取り・整備、不動産、地元スーパーや飲食店、キャンプ場の運営まで広げています。従業員数は72人(23年9月時点)を抱えます。

小川商店運営のガソリンスタンド

 そんな老舗で育った小川さんでしたが、小学2年生の時、生活が一変します。自宅が火事になり、隣家まで延焼したのです。小川さんは翌朝、姉と共に全校生徒200人ほどの前で、校長先生から鉛筆1ダースを受け取りました。

 「今なら先生が励ましてくれたと理解できます。しかし、当時の私は鉛筆を恵んでもらったこと、そして200人の好奇の目にさらされたことがショックでした」

 それから小川さんはしばらく親戚宅に預けられ、高校卒業まで新聞配達や実家のガソリンスタンドでアルバイトしました。

 京都の大学に進んだ小川さんは入学式の日、祇園へ向かいます。面接のためです。「当時はディスコ全盛期。都会の華やかな世界に飛び込みたくて『オレは黒服になる』と意気揚々と行ったのですが、さすがに学生は断られましたね」

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