労働保険料の納付猶予制度とは 厚生労働省が紹介【能登半島地震】
地震などの損害を受けて納付期限内の労働保険料などの納付が困難になった場合に活用できる「労働保険料の納付猶予制度」があります。厚生労働省は令和6年能登半島地震の被災事業者向けに制度を紹介しています。
地震などの損害を受けて納付期限内の労働保険料などの納付が困難になった場合に活用できる「労働保険料の納付猶予制度」があります。厚生労働省は令和6年能登半島地震の被災事業者向けに制度を紹介しています。
厚労省の公式サイトによると、労働保険料納付猶予制度とは、労働保険料等の納付が困難となったときに、猶予期間中の延滞金の免除や、財産の差押さえの猶予または解除といった効果を受けられる制度のことです。
猶予を受ける方法として、以下の3つがあります。
災害猶予とは、災害により全積極財産(負債を除く資産)のおおむね20%以上に損失(相当の損失)を受けた場合、管轄の労働局に申請することにより、原則1年の範囲内で労働保険料等について災害猶予を受けることができる制度のことです。
納付の猶予が認められると、次のメリットがあります。
猶予を受けることができる期間は、1年の範囲内で、被害のあった財産の損失の状況及び財産の種類を勘案して決定されます。
ただし、猶予期間内に完納することができないやむを得ない理由があると認められる場合は、通常の納付の猶予を申請すれば、災害による納付の猶予の猶予期間と合わせて最長3年以内の範囲で猶予期間の延長が認められることがあります。
管轄の都道府県労働局に「納付の猶予申請書(災害猶予)」などを提出する必要があります。災害がやんだ日から2ヵ月以内に申請する必要があります。ただし、申請者の被災状況を斟酌し、申請者ごとに異なる場合があります。
災害猶予を受けられなくても、次のいずれかに該当する事実(猶予該当事実)があるときは、管轄の労働局に申請することにより、原則1年の範囲内で労働保険料等について一般猶予を受けることができる場合があります。
上記の猶予該当事実があり、納付すべき労働保険料等を一時に納付することができないと認められ、申請書も提出されており、さらに原則、労働保険料等の金額に相当する担保の提供がある場合に、納付の猶予が認められることとなります。一般猶予の場合、申請期限はありません。
猶予が認められた時のメリットは以下の通りです。
猶予された金額を猶予期間中に分割して納付することができる
猶予期間中の延滞金が免除される
財産の差押えや換価(売却)が猶予される
猶予を受けることができる期間は、原則1年の範囲内で、申請者の財産や収支の状況に応じて、最も早く労働保険料等を完納することができると認められる期間に限られます。
ただし、猶予期間内に完納することができないやむを得ない理由があると認められる場合は申請することにより、当初の猶予期間と合わせて最長2年以内の範囲で猶予期間の延長が認められることがあります。
管轄の都道府県労働局に「納付の猶予申請書」などを提出する必要があります。猶予に該当する事実発生後、猶予を受けようとする期間より前に申請する必要があります。
原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供が必要です。
ただし、担保は猶予額が100万円以下である場合、猶予期間が3ヵ月以内である場合、担保として提供することができる財産がない場合、担保の必要はありません。
労働保険料等を一時に納付することにより、事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがあるなどの一定の要件に該当するときは、その労働保険料等の納期限から6ヵ月以内に、管轄の労働局に申請することで、1年以内の期間に限り換価の猶予が認められる場合があります。
猶予が認められると次のようなメリットがあります。
ただし、申請する労働保険料等以外に、すでに滞納となっている労働保険料等がある場合には、原則として、申請による換価の猶予は認められません。
申請書類は、厚労省の公式サイトから入手できます。詳しい手続きについては近くの所轄の都道府県労働局や労働基準監督署に相談してください。
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