目次

  1. がれき処理での労働災害事例
  2. 作業前の注意点 けが防止へ装備や連絡体制も整備
    1. 作業者への教育
    2. 作業計画
    3. 作業間の連絡調整
    4. 危険箇所への立入禁止
  3. がれき処理中の注意点

 厚労省によると、災害がれき処理時の労働災害として次のような事故が過去に起きたといいます。

  • がれきを素手で扱って、手を切った
  • がれきから出ていた釘を踏み抜いた
  • 崩れてきたがれきの下敷きになった
  • 錆びた釘で傷を負い、破傷風にかかった
  • 重量物を一人で運び、腰を痛めた
  • トラックの荷台に積んだがれきをロープで固定中、バランスを崩して墜落した
  • 作業中に後退してきたトラックに衝突された
  • 作業中にパワーショベルのアームに激突された

 こうした事故を防ぐため、厚労省は公式サイトに注意事項のリーフレットを掲載しています。

 がれき処理は、釘を踏み抜いたり、倒れてきたり落下してきた物に当たるなど、危険を伴う作業です。そのため、厚労省は、長袖の作業着など肌の見えない服装で作業するよう呼び掛けています。

  • ヘルメットや安全靴など底の厚い靴、丈夫な手袋を着用しましょう
  • 防じんマスクやゴーグルを着用しましょう
  • 防じんマスクの使用に当たっては、フィットチェックを必ず行いましょう

 このほか、がれき処理をする事業者向けには次のように整理しています。

 作業に不慣れな方も多いことから、雇入れ時などに①使用する機械、工具などの取扱方法、②作業体制、作業手順、合図などについて、教育を行うこと。また、現場では、腕章をつけるなど誰が作業責任者か分かるようにすること。

 周辺状況の調査を行い、指揮命令系統、作業手順、監視人も含めた人員の配置、使用する機械及びその使用箇所、がれきの運搬・搬出方法等を定めた作業計画を立てること。

 複数の作業者が混在して同時に作業を行うことが想定されるため、作業間の連絡調整、作業開始前のミーティング等を綿密に実施すること。

 倒れるおそれのある建物等には立入禁止措置を行うこと。

 がれき処理中には、次のようなことに注意が必要だとしています。

  • 安定の悪いがれきの上など高い所で作業しないようにしましょう
  • 倒れそうな建物には近づかないようにしましょう
  • 重いものを無理に一人で運ぶのはやめましょう
  • 倒れた柱などの長尺のがれきを運ぶときは、周りに人がいないか十分注意しましょう
  • 薬品(液体)の容器や、液漏れした機械を見つけた場合には作業責任者に連絡しましょう
  • 古いトランス、コンデンサー等でPCBが含まれているものが工場に保管されていることがあります。特別な管理が必要なものですので不用意に触らないようにしましょう
  • 石綿が含まれているおそれのある建材については、散水等によりできるだけ湿潤化するとともに、原則、割らずに片付けましょう。作業中の重機(ブルドーザー、パワーショベル等)に近づかないようにしましょう

 このほか、荷積みの際にも「積み過ぎ」や荷台に乗せたがれきの上に乗らないよう注意を呼び掛けています。

 事業者向けには、建設機械、クレーン等を使用させる際は、資格の有無を確認することや、機械は適切に点検・整備すること、不安定な場所で作業する場合は転倒防止を図ることも呼び掛けています。

 がれきの粉じんには石綿が含まれているおそれがあるため、作業員に呼吸用保護具(防じんマスクまたは電動ファン付き呼吸用保護具)を使用させ、作業前には建散水や薬液で湿潤な状態とするようにも呼び掛けています。