目次

  1. 「強くなければ」は思い込み
  2. 父の持病悪化で自ら家業に
  3. 「あかんでしょう」と指摘したが…
  4. 家電依存のモデルを変革
  5. 幹部社員との溝が深まる
  6. 救いとなった新卒社員
  7. 若手との距離を縮めるイベント
  8. 病を打ち明けて育った自主性
  9. 組織改革で抜擢人事を断行
  10. 成長を支えた三つの要因
  11. リーダーシップを伝えるコンサルも

 「リーダーは強くなければいけない」。そう思い込んでいる後継者は少なくないでしょう。多くの後継者が理想に近づこうと努力しますが、いつまでもそうなれない。そのジレンマで苦しんでいることと思います。

 しかし、それは思い込みにすぎません。「リーダーシップにも多様性があってしかるべき」というのが、河合電器製作所を率いる佐久さんの持論です。

ヒーターの製造現場

 1929年創業の同社は、半導体の製造装置や自動車、医療機器などに用いられるヒーターを作り、熱技術のコンサルティングも手がけています。2022年の年商は23億円、社員数約200人(パート、嘱託を含む)です。

 同社は今、見学者が絶えません。2017年に「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰 ~魅力ある成長企業賞~」(中小企業部門)で最優秀にあたる厚生労働大臣賞を受賞したからです。

 そんな佐久さんも、同社に入った00年からの約10年間は、暗黒時代を経験しました。その原因は「強いリーダー像」に縛られたからです。改革が必要な時、誰にも相談せずに決め、決断に幹部社員が反発する。佐久さんの心身はどんどんすり減りました。

河合電器製作所の主力製品

 しかし、あるときその呪縛から解放されます。何がきっかけだったのでしょうか。そして、どのように社員一人ひとりの力を引き出す経営へと転換できたのでしょうか。

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