目次

  1. ティール組織は厳しいルールが不可欠
  2. 「決める役割」を放棄しない
  3. 社員の不満が続出したIT企業
  4. 自由な発想を生かすルールと役割
  5. かつての町工場とティール組織

 ティール組織とは、2014年に組織コンサルタントのフレデリック・ラルー氏が、著書「Reinventing Organizations」で紹介した概念です。権力を持った社員が存在せず、各社員が自らの担当範囲のなかで経営に関わる重要な意思決定をしていく体制を指します。

 ラルー氏は、組織が成熟するにつれ、超トップダウンの状態から社員一人ひとりが意思決定できる状態まで進化していくと説き、その過程をレッド、アンバー(琥珀色)、オレンジ、グリーン、ティール(青緑色)の五つに分類しました。日本では、同書の邦訳版「ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現」(英治出版)が18年に出版され、それに合わせて解説本も数多く発売された結果、ティール組織に注目が集まり始めました。

 ティール組織は、社員が主体的に動く結果、素早い意思決定が可能になるというメリットがあるかもしれません。しかし、日本の中小企業は安易にティール組織を目指すべきではないと、筆者が考えます。

 前提として、日本と海外では文化や制度が全く違います。例えば、解雇に関するルールの違いはその象徴の一つです。米国をはじめとした海外と比べて、日本の会社は、簡単に社員を解雇しづらいルールになっています。

 もし、解雇されない前提で経営の根幹に関わる意思決定権だけを与えられたら、どうなるでしょうか。社員は自らの立場を踏み越えて行動する恐れがあります。これが過ぎれば、会社が傾くのは時間の問題です。逆説的に言えば、社員の自主性を重んじるティール組織を実践するためには、いつでも社員を解雇できるという欧米流の厳しいルールが不可欠なのです。

 日本の中小企業のティール組織化には、他にも高いハードルがあります。

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