目次

  1. 「働く姿が魅力的なら...」と聞いて
  2. 富士ゼロックスでの教え
    1. チャレンジが先、スキルが後
    2. シンプルに考える
    3. 後悔しない。覆水は盆に返らない
  3. 家業のピンチで「人質」に
  4. 物流データをフィードバック
  5. 承継待ちは「陣痛」のよう
  6. 「取締役一掃の覚悟」を問われ
  7. 取締役の前で父と修羅場に
  8. 元大企業幹部が教えたプロジェクト
  9. 社内報作りも「愚痴部」も
  10. 「Yourカンパニー」を目指して

 2世経営者は親が経営する会社に入り、現場から管理職、役員を経て社長に就くのが一般的です。大勢の社員を束ね、ビジョン実現に導く社長の仕事は経験によって磨かれるからです。ところが今井さんは、平社員から一気に社長になった珍しいケースです。経営スキルをどのように磨いたのでしょうか。

 同社は同県栗東市と大阪市に物流センターを持ち、商品を保管、出荷、配送しています。ピッキングや自動で補充、仕分け、梱包を行うための最新システムなどを導入し、業界屈指の品種・小ロット・短納期配送を実現しています。主な取引先はPLUS、森下仁丹、旭食品などで社員数は約200人。売上高は80億円(2022年度)です。

手原産業倉庫の物流センター内

 一人っ子の今井さんは、創業者の父・潤一さんから「お前が後継ぎだ」と言われたことはありません。しかし、親類からは「大きくなったら、お父さんの会社をやっていかなあかん」と言われました。

 大学4年生のとき、今井さんは叔母の家に父と遊びに行きます。うたた寝をしていると、父に「あんた、あかりに会社を継がせる気はあるのかね?」と尋ねる叔母の声が聞こえました。すると父は「会社を継いで欲しいとは思っていない。でも、自分が働く姿が魅力的なら、あかりの方から『関わりたい』と言ってくる。逆に自分の姿が魅力的でなければ何も言ってこないだろう」と答えたのです。

 寝たふりをしながら聞いていた今井さんは別の会社で修業し、3~4年後に手原産業倉庫に入ろうと決意。選んだのは富士ゼロックス(現・富士フイルムビジネスイノベーション)でした。

 同社では東京の営業部に配属され、先輩や上司から、その後の人生の柱となる三つの教えを得ました。

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