目次

  1. 「バケモンですか!?」同業他社も驚く多能工
  2. 「社員はやめない」甘えのなかで起きた退職ドミノ
  3. 「休みが少ない」と聞いて再認識
  4. 「ぞっとした」人件費の増加 それでも生き残りへ
  5. 休日増に社員から思わぬ反対 浸透は徐々に
  6. 目先だけでない地域イベントやスクラップアート

 大阪故鉄は、工場から出る端材や解体した建物の鋼材などの鉄スクラップの取り扱いに特化した企業で、大阪府内でシェア2位です。

解体現場へ引き取りに行った車から大型クレーンで鉄スクラップを荷降ろしする作業
解体現場へ引き取りに行った車から大型クレーンで鉄スクラップを荷降ろしする作業

 鉄スクラップ業は、大型設備を必要とする装置産業の一つです。戦後、大阪で創業した初代の矢追欣爾(きんじ)さんが、早くから機械化を進めていたこともあり、創業からずっと黒字続きで、直近の自己資本比率は72.3%と安定した経営を続けてきました。

 従業員は2024年4月時点39人(4月19日入社、2カ月間の試用期間の社員2人含む)。これからさらに数人増える予定です。2021年は鉄の高騰もあり、年間売上高が前年の倍近い137億円となりました。

 買った鉄スクラップは必ず売れてきたことに加え、仕入れも販売もすべて現金払いのため、事業リスクが低いといいます。

 そんな業界のなかでも、大阪故鉄の強みは、本来なら数人かかる作業を現場の作業員が一人でこなしてしまう生産性の高さにあります。かつて同業他社が見学に来た時に「バケモンですか!?」と驚くほどだったといいます。

解体現場へ引き取りに行った車から大型クレーンで鉄スクラップを荷降ろしする作業
解体現場へ引き取りに行った車から大型クレーンで鉄スクラップを荷降ろしする作業

 3代目社長の矢追大祐さんは「鉄スクラップを引き取ったトラックと、各工場の事務所、搬入先の工場のクレーンは無線で連絡を取り合っており、トラックが到着する前には受け入れ準備を整えることができているのです」と話します。

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