目次

  1. 行政事業レビュー「抜本的に構築し直すべき」と提言
  2. 事業再構築補助金、第12回公募の見直しの要点
    1. 申請類型を整理・事前着手制度は原則廃止
    2. 審査体制の強化 計画書の使いまわし防止へ
  3. 第12回公募いつからいつまで?スケジュール確認を
  4. 事業再構築補助金の審査のポイント
    1. 書面審査のポイント
    2. 口頭審査のポイント

 中小企業庁の公式サイトによると、2023年11月の行政事業レビューでは、従来の事業再構築補助金について以下のような提言があったといいます。

  • 新型コロナ対策としての役割は終わりつつあるので、基金のうちそれにかかる部分は廃止し、もしくは抜本的に事業を構築し直すべき
  • 申請書・財務諸表の精査、四半期ごとのモニタリングといった仕組みが確立されない限り新規採択は一旦停止すべきであり、それができない場合は基金として継続する必要は認められないため、国庫返納して通常の予算措置とすべき
  • 審査の厳格化とデータの収集の厳格化については、引き続き十分な検討が必要である

 行政事業レビューの指摘を受けて、中小企業庁は第12回公募から制度を見直したうえで再開することを発表しました。

 事業再構築補助金は、第12回公募から、既存の事業類型を見直し、今なおコロナの影響を受ける事業者への支援及びポストコロナに対応した事業再構築をこれから行う事業者への支援に重点化することにしました。

既存の事業類型を見直した第12回公募の事業再構築補助金
既存の事業類型を見直した第12回公募の事業再構築補助金

 具体的には、6枠あった申請類型を、成長分野進出枠・コロナ回復加速化枠・サプライチェーン強靱化枠の3枠に整理しました。

 ただし、事業類型ごとの補助対象要件に加えて、共通要件を設けているところは変わりません。

  1. 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業である
  2. 事業計画を金融機関等や認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受けていること
  3. 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3.0~5.0%(事業類型により異なる)以上増加または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率3.0~5.0%(事業類型により異なる)以上増加
事業再構築補助金の共通要件
事業再構築補助金の共通要件

 第11回公募まで実施してきた事前着手制度は、原則廃止します。ただし、経過措置として、第10回・第11回公募で事前着手が可能だった事業類型の補助金交付候補者として不採択となった事業者が、第12回公募でコロナ回復加速化枠またはサプライチェーン強靱化枠に申請する場合は事前着手ができます。

事前着手届出制度の変更点
事前着手届出制度の変更点

 採択審査におけるAIでの重複率確認による類似案件排除を強化(閾値の見直しや範囲の拡大により、同じ計画書の使いまわしを防止)します。

 一定期間に特定トピックの申請が集中した場合、一時的流行による過剰投資誘発の恐れがあることから、システム上検知し、審査を厳格化します。また、新分野進出は事業の新規性を公募ごとに再検証します。

 採択後の交付審査・実績審査用のシステムを刷新し、AIを導入するなどして審査を標準化・高度化する予定です。

 事業再構築補助金の事務局は、2024年4月23日に公募を開始し、公募要領を公表しました。ただし、申請受付の開始日は「調整中」と説明しています。締め切りは7月26日(金)18時を予定しています。

 事業再構築補助金の審査をするうえで必要なポイントは事前に示されています。詳しくは、事業再構築補助金の公式サイトに掲載されている公募要領を読み込んでください。

審査の観点
審査の観点

 書類審査では、とくに次の5つについて注意してください。

補助対象事業としての適格性

補助対象事業の要件を満たすか。事業再構築指針に沿った取組であるか。 

新規事業の有望度

継続的に売上・利益を確保できるだけの規模を有しているか。自社にとって参入可能な事業か。

競合他社と比較して自社に明確な優位性を確立する差別化が可能か。 

事業の実現可能性

事業化に向けた、課題の検証・解決方法、スケジュールが明確かつ妥当か。

最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できるか。充分な体制を確保出来ているか。 

公的補助の必要性

川上・川下への経済波及効果が大きい事業や社会的インフラを担う事業、新たな雇用を生み出す事業であるか。

補助事業として費用対効果が高いか。地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業か。 

過剰投資の抑制

特定の期間に、類似のテーマ・設備等に関する申請が集中してなされている場合には、一時的流行による過剰投資誘発の恐れがあるため、別途審査を実施。過剰投資と判断された場合には、大幅に減点。

 口頭審査は、一定の審査基準を満たした事業者の中から必要に応じて、オンラインによる口頭審査を実施します。とくに、事業計画について、事業の適格性、革新性、優位性、実現可能性等の観点について審査する予定です。