目次

  1. 手形サイトとは
  2. 中小企業庁「120日超の手形期間は違反のおそれ」
  3. 中小企業庁と公取委が60日以内に短縮要請

 経産省の公式サイトなどによると、手形サイトとは一括決済方式の場合は、手形交付日から、手形金の入金日までの期間を指します。

 現金の受領までに一定期間がある「約束手形」を受け取った事業者は、以下の対応をとる必要があります。

  1. 銀行に割引料を支払い現金化するか
  2. 他社への支払いとして譲渡(裏書譲渡)するか
  3. 満期日まで待つか

 たとえば、手形サイトが120日の場合、支払日までの期間(60日)と手形サイト(120日)を合わせて現金を受け取れるまで180日かかるといったことが資金繰りの問題となっていました。

 2023年10月~12月の調査では、約2万社のうち、約3割の企業が受注者側の支払代金の一部またはすべてを約束手形で受け取っていると回答。さらに、手形の支払期日の8割超が60日を超える長さとなっていたといいます。

 中小企業庁と公正取引委員会は、長年にわたり業界の慣習などを勘案し、手形サイトについて繊維業は90日、その他の業種は120日を超える場合、下請法が規制する「割引困難な手形」に該当するおそれのあるとしてきました。

公正取引委員会及び中小企業庁では、現在、支払手形の手形期間が繊維製品に係る下請取引においては90日、その他の下請取引においては120日を超えるいわゆる長期手形は、下請法第4条第2項第2号の規定(割引困難な手形の交付の禁止)に違反するおそれがあるものとして取り扱い、すべて同期間内に改善するよう指導しています。

下請代金支払遅延等防止法ガイドブック(中小企業庁)

 さらに業種別の下請ガイドラインや自主行動計画などを通じ、手形等による支払期間の短縮を進めるなかで、60日を超える手形等を「割引困難な手形」として指導対象とするよう下請法の運用を見直しました。

 中小企業庁によると、事業者が約束手形のサイトを短縮できない理由は、上位の取引先からの手形サイトも長いといった要因があることに加え、手形サイトの短縮に取り組む事業者の資金繰りへの影響にも配慮する必要があるといいます。

  • サイトが60日を超える手形等を下請法の割引困難な手形等に該当するおそれがあるものとして指導の対象とする運用が、2024年11月1日から始まること。
  • ファクタリング等の一括決済方式については、サイトを60日以内とすることに加え、引き続き、一括決済方式への加入は下請事業者の自由な意思によること並びに親事業者、下請事業者及び金融機関の間の三者契約によることを徹底すること。
  • 下請法対象外の取引についても、手形等のサイトを60日以内に短縮する、代金の支払いをできる限り現金によるものとするなど、サプライチェーン全体での支払い手段の適正化に努めること。とりわけ、建設工事、大型機器の製造など発注から納品までの期間が長期にわたる取引においては、発注者は支払い手段の適正化とともに、前払い比率、期中払い比率をできる限り高めるなど支払条件の改善に努めること。
  • 手形等のサイトの短縮に取り組む事業者からの資金繰り支援の相談に丁寧かつ親身に応じるとともに、事業者の業況や資金需要等を勘案し、事業者に寄り添った柔軟かつきめ細かな資金繰り支援に努めること。

 要請文は中小企業庁のサイトで公表されています。