目次

  1. 太陽フレアとは
  2. 太陽フレアが引き起こす現象・影響 GPSどうなる?

 情報通信研究機構の「宇宙天気予報」によると、太陽フレアとは、太陽の黒点付近で生じる爆発現象のことで、強い紫外線やX線、電波等が放射されるほか、太陽の上層大気であるコロナガスが放出され、地球に到来すると大規模な宇宙環境変動を引き起こすこともあります。

 発生したフレアのX線強度の最大値により、小規模なものから、A、B、C、M、Xの順にクラス分けされています。2024年5月8日以降、Xクラスの大規模な太陽フレアが14回起きました。

発生日 発生時刻(JST) 規模
2024年5月8日 10時41分 X1.0
2024年5月8日 14時09分 X1.0
2024年5月9日 6時40分 X1.0
2024年5月9日 18時13分 X2.2
2024年5月10日 2時44分 X1.1
2024年5月10日 15時54分 X3.9
2024年5月11日 10時22分 X5.8
2024年5月11日 22時44分 X1.5
2024年5月13日 1時26分 X1.0
2024年5月14日 11時9分 X1.7
2024年5月14日 21時55分 X1.2
2024年5月15日 1時51分 X8.7
2024年5月15日 17時37分 X3.4
2024年5月15日 23時38分 X2.9

 Xクラス以上のフレアが72時間で7回発生したことは観測開始以来、初めてだといいます。

 太陽面での大規模な爆発により放出された高エネルギー粒子が地球に到達することで起こる「地磁気嵐」も観測されました。高度60-90km程度のD領域が異常電離して電子密度が高くなり、通常はD領域を通過する短波帯の電波が吸収されてしまう「デリンジャー現象」も確認されています。

 太陽フレアはしばらく沈静化していましたが、5月27日に再びX2.9のフレアが発生しました。5月上旬からXフレアを頻発させていた太陽の領域が自転して正面に戻ってきた可能性があるため、当面は注視が必要です。

 情報通信研究機構によると、太陽から放出されたコロナガスは、日本時間の5月10日の遅い時間帯から数日にわたり順次地球に到来することが予想されています。5月11日夜には、日本各地でもオーロラが観測されました。

 ただし、地磁気嵐が発生し、地球周辺の人工衛星の障害やGPSを用いた高精度測位の誤差の増大、短波通信障害などが生じる恐れがあります。このほか、航空機の航路変更や送電施設のトラブルも考えられます。

 情報通信研究機構の「宇宙天気予報」や、アメリカ海洋大気庁の宇宙天気予報センターで随時、情報を更新しています。