目次

  1. 再生医療とは
  2. 日本再生医療学会が「医療法違反」と指摘している概要
    1. 再生医療等技術の提供について
    2. 広告内容の確認
    3. 不審な広告への対処
  3. 誇大(虚偽)広告に該当する恐れがある文言ほかにも

 再生医療とは、幹細胞やiPS細胞などを使って、欠損した臓器や組織を再生させ、身体機能の回復を目指す医療です。

 再生医療法に基づき、再生医療を「治療(現状の圧倒的多数は自由診療)」または「臨床研究」として実施する場合には、医療機関は厚生労働大臣の認定を受けた委員会に再生医療の提供計画を提出して審査を受ける必要があります。

 ただし、再生医療は、国の薬事承認を受けた「再生医療等製品」のほか、公的医療保険の対象ではない自由診療として、美容などの目的でも使われており、一部の自由診療で提供される再生医療は、安全性の確保が課題になっています。

 日本再生医療学会の公式サイトによると、一部医療機関が運営する情報提供サイトで、再生医療等安全性確保法にもとづき、自機関で提供する再生医療等技術が「厚生労働省の承認を正式に受けて、再生医療を提供」など、あたかも厚生労働省が承認しているかのように表記している医療法に違反する広告の例が散見されるといいます。

 この点について、「現在の安確法では、再生医療等技術は厚生労働省への『届出』を経て実施されるものであり、行政庁による許可、認可、免許といった『承認』のような判断表示が行われるものではありません。このような誤解を招く表記は、法律に違反するだけでなく、患者・市民の皆様に対して不正確な情報を提供することになります」と指摘しています。

 指摘内容は以下の通りです。

 再生医療等技術は厚生労働省への「届出」を経て実施されるものであり、「承認」を受けているわけではありません。

 医療機関の広告が「承認」を謳っている場合、その情報が正確かどうかを確認してください。

 不審な広告や誤解を招く表現に気づいた場合は、適切な機関にご相談ください。

 これまでも誇大(虚偽)広告の問題は指摘されてきました。国立がん研究センターなどの共同研究チームによると、第二種再生医療(すで実施されているが中リスクのもの)等の治療計画を実施する医療機関のウェブサイト254件を対象に、医療法が規制する誇大(虚偽)広告に該当する恐れがある文言があるかを調べました。

 その結果、132件(51.9%)の医療機関のウェブサイトで「再生医療法の手続に従って行う」「厚生労働省の承認を得ている」「国が認定した委員会の厳しい審査をクリアして行う」などの文言を確認したといいます。