公益法人制度、2025年4月からの3つの改正ポイント 資金活用を柔軟化
公益法人制度が2025年4月から変わる予定です。2024年5月14日、衆議院本会議で「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(公益認定法)」が可決・成立し、22日に公布されました。資金活用の自由度が増し、柔軟に事業展開しやすくなる一方、ガバナンスの充実や透明性の向上を図るよう努めるべき旨を規定で設けるなど3つの改正のポイントを紹介します。
公益法人制度が2025年4月から変わる予定です。2024年5月14日、衆議院本会議で「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(公益認定法)」が可決・成立し、22日に公布されました。資金活用の自由度が増し、柔軟に事業展開しやすくなる一方、ガバナンスの充実や透明性の向上を図るよう努めるべき旨を規定で設けるなど3つの改正のポイントを紹介します。
内閣府の特設サイトによると、公益法人とは、公益の増進を図ることを目的として法人の設立理念に則って活動する民間の法人のことです。
内閣府の公式サイトによると、「民による公益の増進」を目的として、主務官庁制・許可主義を廃止し、法人の設立と公益性の判断を分離する公益法人制度改革関連三法が2008年12月に施行されました。公益法人制度には社団と財団の法人類型があります。
一般社団・財団法人は、剰余金の分配を目的としない社団又は財団について、その行う事業の公益性の有無にかかわらず、準則主義(登記)により簡便に法人格を取得できる一般的な法人制度です。
法人の自律的なガバナンスを前提に、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律において、法人の組織や運営に関する事項が定められています。
一般社団・財団法人のうち、民間有識者からなる第三者委員会による公益性の審査(公益目的事業を行うことを主たる目的とすること等)を経て、行政庁(内閣府又は都道府県)から公益認定を受けることで、公益社団・財団法人として税制上の優遇措置を受けることができます。
内閣府によると、公益法人は、法人数で9700、職員数で約29万人、公益目的事業費が年間5兆円(総資産31兆円)と大きなリソースがあります。
それにもかかわらず、従来の制度では、原則として公益目的事業は費用を超える収入を得てはならないという財務規律が厳しく、潜在力を発揮しにくいとの声があったといいます。
このため、法人の経営判断で社会的課題に対応しやすくするとともに、法人自らの透明性向上やガバナンス充実に向けた取組を促し、より使いやすい制度へと見直しを行い、民間公益の活性化を図るために公益認定法が改正されました。
改正のポイントは以下の3つです。
それぞれについて、詳しく解説します。
費用を超える収入を得てはならないという「収支相償原則」を見直し、内閣府令で定める「中期的期間」で収支の均衡を図る趣旨を明確にします。将来の公益目的事業を充実させるための資金を規定します。ただし、積立ては費用とみなします。
また、「遊休財産」の名称を「使途不特定財産」に変更し、保有制限から除外できる範囲が拡大されます。
さらに、災害等の予見し難い事由に対応し、公益目的事業を継続するために必要となる公益目的事業財産である「公益目的事業継続予備財産」を保有制限の算定対象から除外します。ただし、公益目的事業継続予備財産の保有については理由の公表を義務付けます。
収益事業等の内容の変更について、これまでは変更認定事項でしたが、今後は変更届出事項となります。
わかりやすい財務情報開示のため、公益法人に3区分(①公益目的事業、②収益事業等、③経理法人運営)を原則義務付けます。
また、公益認定の基準として、①理事・監事間の特別利害関係の排除及び②外部理事・監事の導入を追加します。あわせて、公益法人は、事業報告に、適正な運営の確保のため必要な事項(ガバナンス充実に向けた自主的な取組等)を記載することとします。
さらに、公益認定の責務として、ガバナンスの充実や透明性の向上を図るよう努めるべき旨を規定します。あわせて、国の責務として、情報収集・提供等の公益法人の取組の支援を行う旨を規定します。
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