目次

  1. 「前向きじゃない」仕事も経験
  2. 認知度は抜群でも感じた課題
  3. みそ汁の作り方は知られていても…
  4. 「塩こうじ会議」を社内に
  5. 「食のプロ」と重ねた対話
  6. 父と真剣勝負の1on1
  7. 社長就任で定めた行動指針
  8. 既存商品と一線を画したブランド 
  9. マーケティングににじみ出る愛情

 大手みそメーカーのハナマルキは1918年に創業し、代々花岡家が経営しています。従業員数は290人。本社のある長野県のほか、群馬県とタイに工場を抱えています。商品アイテム数は約400、売上高は210億円(2023年12月期)です。

 花岡さんは子どものころ、お盆と正月は祖父の家を訪ねました。「家にはみその蔵がありました。ひんやり薄暗い蔵の中で、みその熟成度合いを確認して真剣に話す祖父や父を見て、あこがれたのを覚えています」

創業当時のハナマルキ(以降、注釈のない写真はハナマルキ提供)

 大学を出てハナマルキに入社後、すぐに三井物産に出向。約3年半、みその原料の大豆の仕入れと販売に携わり、国際相場の見方や営業を学びました。2007年ごろ大豆の相場が高騰し、「ハナマルキの環境が大きく変わるタイミングだったので、家業に戻ることを決断しました」。

 ハナマルキに戻った後も経営企画を担当しながら、技術経営(MOT)を学ぶため、早稲田大学大学院に2年間通い、担当教授とイノベーションに関する共著も出しました。

 当時は今と同じく、原材料価格の高騰が経営を圧迫していました。20代後半で財務担当の部長だった花岡さんは「グループ会社のM&Aや人員削減などのリストラという、必ずしも前向きではない仕事をやりました」。

伊那工場の棚に並ぶハナマルキの商品
伊那工場の棚に並ぶハナマルキの商品

 ヒットCMを送り出し、商品も店頭にずらりと並ぶハナマルキの認知度は抜群です。それでも、花岡さんは課題も感じていました。

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