目次

  1. トヨタカスタマイジング&ディベロップメントとは
  2. 下請け法違反と認定された事実
    1. 返品の禁止
    2. 金型等保管費用の未払い
  3. 公取委の勧告内容
  4. トヨタカスタマイジング&ディベロップメントがコメント

 トヨタカスタマイジング&ディベロップメントの公式サイトによると、トヨタカスタマイジング&ディベロップメント(TCD)は、用品/架装・特装・モータースポーツという3つの事業を展開するグローバル企業です。

 設立は2018年で、株式の90.5%をトヨタ自動車保有し、9.5%を豊田通商が保有しています。

 公取委によると、「返品の禁止」と「金型等保管費用の未払い」について下請法違反の事実が認められたといいます。

 トヨタカスタマイジング&ディベロップメントは、下請事業者に対し、下請事業者から製品を受領した後、品質検査を行っていないにもかかわらず、製品に瑕疵があることを理由として、2022年7月から2024年3月までの間、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、製品を引き取らせていました。

 返品した製品の下請代金相当額等は、65社で総額5427万3356円に上るといいます。

 また、トヨタカスタマイジング&ディベロップメントは、下請事業者に対して自社が所有する金型等(製品の製造に用いる金型、製品の塗装・メッキ処理等の加工を行う際に用いる治具及び製品のサイズを正確に確認するための計測器具である検具)を貸与していました。

 遅くとも2022年7月1日以降、金型等を用いて製造する製品の発注を長期間しないにもかかわらず、下請事業者に対し、合計664個の金型等を無償で保管させ、下請事業者49社の利益を不当に害していたといいます。

 公取委は7月5日、トヨタカスタマイジング&ディベロップメントに対し、無償で金型等を保管させたことによる費用に相当する額を公正取引委員会の確認を得た上で下請事業者に速やかに支払うことや、再発防止に向けて下請法の研修を行うなど社内体制の整備するよう勧告しました。

 トヨタカスタマイジング&ディベロップメントは6月20日、下請事業者65社に対し、返品した製品の下請代金相当額5427万3356円をすでに支払ったといいます。金型の保管費用については、公正取引委員会の確認を得た後、取引先に支払う予定です。

 そのうえで、公取委の勧告に対し、トヨタカスタマイジング&ディベロップメントは公式サイトで次のようにコメントしています。

 「勧告対象期間以外についても総点検を行い、違反行為が認められた場合には、取引先様一社一社、丁寧に対応し、取引先様に生じた金銭負担相当額をお支払いいたします。このたびの勧告を大変重く受け止め、原点に立ち戻り、法令遵守を徹底してまいります。コンプライアンスの観点で本件の振り返りを行い、それに基づいた社員教育や取引先様とのコミュニケーション強化などの再発防止策をとってまいります」