目次

  1. 新潟トランシスとは
  2. 不正のあったロータリ除雪車の10機種
  3. ロータリ除雪車の試験不正内容
  4. 国交省の対応

 IHIの公式サイトによると、新潟トランシス(本社:新潟県聖籠町)は鉄道車両、案内軌条式鉄道施設、除雪機械の製造・販売を手がけており、1910年(明治43年)に新潟鐵工所として創立。

 2003年に石川島播磨重工業(現IHI)が事業を引き継ぎ、新潟トランシスを設立しました。従業員数は2024年3月末で424人に上ります。

 IHIの公式サイトによると、新潟トランシスの社内会議で社員からロータリ除雪車の除雪性能試験について不適切行為についての申し出があり、試験データの確実性が担保されている2002年以降に販売された除雪車について調べました。

 すると、不正は2007~2017年に不正が確認でき、対象となった除雪車は10機種1239台(登録が抹消された車両等6台を含む)に上りました。

機種 台数
NR84 170
NR103T 13
NR104T 32
NR144 66
NR282 171
NR301 106
NR302 221
NR303 414
NR401 20
NR402 20

 納入先は国交省が98台、高速道路会社が33台、地方自治体が925台、民間企業で177台でした。

 これまでに判明した調査内容によると、除雪車の主な顧客である国土交通省の各地方整備局、地方自治体、高速道路会社等の入札では除雪車の最大除雪能力を申告する必要があります。

 しかし、2006年の除雪性能試験で求められる目標を達成できなかったため、翌年の除雪性能試験で除雪装置の一部の部品を取り換えていたことが分かりました。

 この除雪性能試験は、最大除雪能力を計測する試験であり、除雪能力を向上させるため、動力を分配するギア比や雪を掻き込む先端の回転装置の回転数、雪の排出口の形状などを変更したうえで、除雪性能試験を実施していたといいます。

 国交省は「ユーザーからの信頼を損なう行為であり、また、適切な除雪作業による国民の安全・安心の確保の観点からも極めて遺憾」として、調査や再発防止策の報告を求めています。具体的に求めた対応は以下の通りです。

  • 不適切行為の全容の解明と再発防止策を策定し、速やかに報告すること
  • 不適切行為のあったロータリ除雪車について、除雪性能(最大除雪量)への影響を調査し、国土交通省の購入仕様書の適合状況について速やかに報告すること
  • 関係事業者への丁寧な説明や対応に努めること

 国交省は今後、新潟トランシスの報告を踏まえて、厳正に対処すると説明しています。