目次

  1. ルールの形骸化が招く生産性低下
  2. 管理職は「半分」でいい
  3. 元工場長のルール違反が大事故に
  4. 公明正大な評価制度の整備を
  5. 身売りを選んだ経営者の共通点
  6. 技能継承する側にインセンティブ

 製造業は基本的に、ある規則的な業務を繰り返していく仕事と言えます。それゆえ、生産性の向上を図るには個別に業務の見直しをすべきだと考えられがちですが、それよりも先にやることがあります。それはルールの整備です。

 こう述べると、「当社はしっかりとルールを定めているから問題ない」と考える経営者がいますが、本当でしょうか。全従業員がルールを念頭に置いた上で作業にあたっているでしょうか。

 筆者が中小企業の製造現場を訪れ、経営者に聞いたルールを従業員に確認すると、「初めて知った」、「マニュアルを最初に一度読んだだけ」という反応が返ってくるケースは珍しくありません。ルールがあっても形骸化している現場では、従業員がその都度、独自の判断を強いられます。それが迷いを生み、生産性の低下につながるのです。

 従業員が普段からルールに基づいた行動をしていないと、経営者が新しい方針を打ち出した際、「何が何でもその通りに動こう」とする意識が従業員の間に生まれません。「ああ言っていたけれど、面倒だし今まで通りでいいよな」と従業員が勝手に判断してしまうのです。

製造業の生産性を高める組織マネジメント法

 そんな状況を改善するにも、奇抜なルールは不要です。整理整頓の仕方やトラブル発生時の報告フローなど、仕事をする上で意味を持つルールを明文化します。工場や物流倉庫のルールは会社間で大きな違いはありません。知人の会社やメディアで見た会社のルールをまねしてみるのはいかがでしょうか。有名なトヨタ自動車の「かんばん方式」でもいいでしょう。最初からオリジナル性を出そうとせず、まずはまねをして、運用する過程でブラッシュアップしていけば十分です。

 ルールを決めたら、それを順守させる役割と責任を管理職に与え、従業員全員が徹底して守る体制を整えましょう。その際に、経営者からよく挙がるのが「最初はルールを守っていたのに、注意されないから誰も守らなくなった」という声です。この原因はどこにあるのでしょうか。

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