目次

  1. ブックオフとは
  2. ブックオフでの架空買い取りと不適切な在庫計上
    1. 商品買取時
    2. 商品管理・棚卸時
    3. 販売時
    4. その他
  3. 従業員の不正を見抜けなかったのか

 ブックオフは、書籍・パッケージメディア、アパレル等の総合リユース事業の運営するグループ企業です。

 1990年5月に神奈川県相模原市にBOOKOFF直営1号店オープンしたのが始まりで、2018年10月にブックオフコーポレーションを株式移転完全子会社とする単独株式移転の方法により純粋持株会社(完全親会社)である「ブックオフグループホールディングス株式会社」を設立。

 国内外800店舗以上、連結売上高は1000億円を超えるグループに成長しています。

 ブックオフグループホールディングスのお知らせ(PDF方式)によると、2024年6月25日、子会社が運営する複数店舗で、従業員による架空買い取り、在庫の不適切な計上、着服の可能性があることが発覚し、外部専門家で構成された特別調査委員会による調査を進めていました。

 グループの国内外直営全店舗で臨時の実地棚卸を実施したところ、国内24店舗で7000万円に上る不適切な在庫計上が見つかったといいます。

 ブックオフは10月15日の決算発表で、特別調査委員会の調査報告書(公表版:PDF)を公表しました。特別調査委員会が調査を続けるなかで、国内26店・1拠点で従業員による不正行為が29件あり、影響額は8100万円と公表しました。手口についても調べると、商品買取時など16種類の不正行為が見つかりました。

類型 不正行為の概要
架空買取 実際に買い取る商品が存在しないにもかかわらず、架空の買取登録を行い、代金相当額をレジまたは金庫から持ち出して領得する
水増し査定による差額横領 顧客と合意した商品数及び金額で買取りを行いつつも、店舗内では顧客と合意した商品数・金額よりも大きい商品数・金額で登録を行い、顧客に渡した金額との差額の現金を横領する
セット買取による買取点数の過少申告 架空在庫を圧縮する目的で、実際に買い取りした商品数よりも減らした商品数で買取りしたこととする
類型 不正行為の概要
商品持出し 店舗従業員による店舗内在庫の窃取行為(内引き行為)
自店舗在庫を他店舗に買い取らせる 自店舗の在庫について、顧客の持ち込み商品であると偽って他店舗にて買取りをさせ、その買取代金を領得する
棚卸偽装 実地棚卸により帳在差異が発生した際、現物がないにもかかわらず在庫があるように偽装する(棚不足の場合)、または実際の実地棚卸の結果よりも少ない数の在庫数を棚卸結果として入力する(棚過剰の場合)
杜撰な棚卸等 定められたルール等に則っていない棚卸に関する行為、または、ルール等が定められていないか明確でないことによって棚卸作業に不備を生じさせた
滞留在庫隠蔽 粗利額低下を防ぐため、個品の滞留在庫について、データを書き換え、滞留在庫が販売されたように偽装する行為
架空・虚偽転換 本来の転換の目的に反して、内引き・架空買取を隠蔽する等、本来と異なる目的のもと、単品を部門品に転換する・部門品のコードを他の部門品コードに転換する
架空ラベル貼替 店頭にある商品に、存在しない在庫の値札ラベルや他の商品の値札ラベルを貼ることにより、在庫が存在するように偽装したり、実際には売れていない商品が売れたかのように偽装したりする
架空R処理 実際の商品廃棄を伴わないままに、前倒してR処理を行い、または、実際の商品廃棄時にR処理を行わずに後ろ倒してR処理することで、R処理に伴う損失の計上時期を操作する行為、及び、本来のR処理の目的に反して在庫データを消去するためにR処理をする
R登録の不実施 商品を廃棄してもR登録を行わず、理論値を減少させないようにし、または損失計上を回避する行為
架空Kコード処理 実際のトレカの在庫データの移動(本POSシステム1から他社POSシステム)とは相違する内容で本POSシステム1上のKコード処理を行い、架空の在庫を計上させ、又は実態に相違して在庫を消去する行為
類型 不正行為の概要
現金着服 顧客に販売した販売代金やレジの現金を着服(領得)する行為
類型 不正行為の概要
架空買取・架空販売 商品の架空買取と当該商品を販売したものと偽装する架空販売を一連のものとして実施する行為
予備釣銭等の横領行為 社員の個人名義の口座に振り込まれた予備釣銭等の金員を横領する行為

 ブックオフグループホールディングスによると、直営全店では、各店舗の店舗在庫の実地棚卸は定められたルールに従い、各店舗の店長・主任を中心として行っており、実地棚卸の網羅性や実施棚卸がルールどおりに実施できているかどうかについての確認・検証は、複数店舗を所轄するエリアマネージャーらが行っていたといいます。

 しかし、これまで実施してきた実地棚卸では、今回発見されたような不適切な在庫計上は見抜けなかったといいます。

 調査委員会はの調査では原因について以下のように指摘しています。

  • 店舗従業員におけるコンプライアンス意識の欠如または不足
  • 長期にわたる特定の社員に対する店舗内の権限の集中
  • 不正行為等の防止に対する組織的な対応の不十分さ
  • 上長によるチェック・モニタリング態勢の構築の不十分さ