目次

  1. 権限委譲をしないために生じる問題
  2. 権限委譲を進めるための留意点
  3. 「放任」ではなく進捗の管理を
  4. どうしても口出ししたくなったら
  5. 明確な評価制度の整備を
  6. 教訓を糧に権限委譲を進める商社

 「何もかも自分で意思決定しなければ気が済まない」と考える中小企業の経営者は少なくありません。しかし、会社を長続きさせたいなら、できるだけ早く権限委譲に着手した方がよいでしょう。権限委譲しないために生じる問題が多々あるからです。

 まず、経営者が全ての意思決定に経営者が関わっている状態だと、決断のための情報収集に多大な時間を割かねばなりません。マネジメント業務や今後の方針について考えるための時間を確保できなくなります。

 それに、責任を与えない限り社員は成長せず、会社に貢献する気持ちも芽生えてこないでしょう。やりがいを求める優秀な人材は社を去り、ただ指示を待つ社員だけが残ります。そういう社員は結果を残せなかったとき、「言われた通りにやりましたが、私が悪いのでしょうか」と言い訳に終始します。社員がそんな状態の会社からは、クリエーティブなアイデアは生まれません。

 しかし、権限委譲が成功すれば経営者は本来すべきトップマネジメントの仕事に集中でき、責任の付与によって社員の成長とモチベーションの向上も期待できます。

 確かに意思決定のスピードは落ちるかもしれません。何もかも好きにしたい経営者にとってはもどかしい時間を過ごさなければならないでしょうが、社員が成長するにつれて、会社が市場に提供できる価値はどんどん増していきます。権限委譲に乗り出す価値は十分にあるはずです。

 権限委譲していくと決めたら、まず何を誰に任せるのか明確にします。会社全体の予算や目標のような大きな指針の決定権は経営者が持つべきですが、それ以外なら、部下の能力に鑑み、任せられるものは任せてよいでしょう。このとき、成果を出すために押さえておきたい大切なポイントがあります。

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