目次

  1. アナログを残しながら生産性向上
  2. ミス減少もデータ活用も
  3. 安価な市販品でIoTを加速
  4. タッチパネル導入を見送った理由
  5. 社内コンテストでツールを浸透

 東京フードサービスは1969年に創業し、洋食店「キッチンABC」を運営しています。豚肉とニラを秘伝のたれで炒めたオリエンタルライスなどが人気で、東京・池袋など都内4店舗を展開し、冷凍食品販売も行っています。創業者の孫の稲田さんは2021年から家業に入り、専務として業務改善を進めています。

 杉並電機は1953年、福田さんの祖父が創業し、電子機器につなぐコネクターの金属端子(たんし)を製造しています。高い精度で作られる端子は、スーパーコンピューターやゲーム機などに用いられています。約30人の従業員を率いる福田さんも工場内の生産性を高めるため、改革を進めました。

 ジャンルは異なる両社ですが、デジタル化による業務改善で成果を挙げたという共通点があります。単なるITツールの導入だけでなく、アナログな部分を残しながら生産性を高めるまでのプロセスを、トークセッションで紹介しました。

 キッチンABCの稲田さんは、各店にAirレジ(POSレジ)を導入しました。「以前は紙伝票で、営業終了後に売り上げを計算して電話で本部に伝えていましたが、4店舗が一斉に電話するので通じないこともありました。Airレジ導入で会計のミスが減り、各店からの報告も不要になりました。お客様が何時にどんなメニューを頼んだのかも分かり、ABC分析ができるようになりました」

 仕込みの時間に電話で行っていた受発注も、システム導入で効率化を進めました。「手の空いたタイミングでいつでも注文できるようになりました。デジタルデータにまとめているので、食材を何個発注したのかを全員が把握でき、人的ミスも防ぎました」

キッチンABCではデジタル化を進めながら、既存事業と新規事業を融合しています(東京フードサービス提供)
キッチンABCではデジタル化を進めながら、既存事業と新規事業を融合しています(東京フードサービス提供)

 前は「電話した方が早い」という風潮があったといいますが、チャットツール導入で情報共有が進み、会社のビジョンも浸透させやすくなったといいます。

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