目次

  1. 構造化とは
    1. 構造化の活用例
    2. ロジカルシンキングと構造化の関係
  2. 構造化の重要性・メリット
    1. 全体像を俯瞰的に見れる
    2. 要素間のつながりがわかる
    3. 情報共有しやすくなる
  3. 構造化の具体的なプロセス
    1. 全体を定義する
    2. 切り口を探す
    3. 分解する
    4. 関係性を確認する
  4. 構造化をビジネスに生かすためのポイント
    1. 情報の整理
    2. プロセスの作成
    3. 意思決定の明確化
  5. 情報化社会だからこそ構造化を

 構造化とは、物事の全体像をわかるように定義し、その中にある構成要素と構成要素間の関係をわかりやすく見えるようにすることです。

 例えばこの記事も、「構造化についてお伝えします」と定義をして、その中の文章の構成要素は「構造化とは」「構造化の重要性・メリット」「構造化の手順」「構造化をビジネスに活かすためのポイント」という構成要素で成り立っています。これらをわかりやすく見えるように「目次」というところで構造化を行っています。

 このように、なんとなく全体像でしか捉えていないものの構成要素がどのようになり、どのような綱がありがあるのかを明確化したものが、構造化されているといえます。

 構造化は、私達がよく目にするところで多く使われています。

構造化の活用例
データ分析 直感的に要素感の関連がわかりやすくなるよう、グラフや表を用いて整理する
マニュアル 一連の行動を要素分解して、これらを視覚化して伝える
話し合い 話し合いで出された意見を似たようなジャンルで分け、共通項でタイトル付けする
書店・図書館 本をジャンル別・作者別・タイトル順に並べる

 このように、構造化は私達の身の回りにたくさんあるものです。

 ロジカルシンキングとは、矛盾のない筋道を成り立たせて結論を導く考え方のことです。ロジカルシンキングで扱う「MECE」=「もれなくダブりなく」という考え方で、構造化は欠かせないものといえます。

 例えば、複雑な問題をロジックツリーを用いて小さな要素に分解していくことで、問題を単純化できます。また、解決策を考えるときも、小さな行動の積み重ねにより、大きな成果を生み出す行動になると見えてくるでしょう。

 このときに「どのような要素があるのか」を一つひとつ考えるときに、構造化の手法を使います。

 ロジカルシンキングについては、下記記事で詳しく解説しています。

 構造化の重要性・メリットについてお伝えしましょう。

 物事の構成要素だけを伝えられても、それらがどのようなつながりで全体をつくっているのかわかりづらいものです。いわゆる「木を見て森を見ず」の状態に陥ってしまいます。

 構造化を行うことで、構成要素とそのつながりが明確になるため、全体像がよりつかみやすくなります。つまり、木も森も両方見ることができます。これにより、物事を俯瞰的に見られるようになるのです。

 構造化では構成要素に分解するだけでなく、各々の構成要素同士がどのようなつながりで成り立っているのかも明確になります。

 例えば、Aという事象の後にBが行われる。Cという事象と相反するものとしてDがある。EとFは同時に行われるものである、などです。

 構造化によりこれらがわかると、次に続く行動をスムーズに行うことができます。

 構造化を行うことで、論点のレベルを合わせやすくなります。レベルが合っていないと、ある人は大局から、別の人は細かい事象について議論を交わす、といったようなことが起こり、情報が噛み合わなくなってしまいます。

 構造化で論点のレベルを合わせることで、認識が噛み合うようになり、情報共有がやりやすくなります。

 構造化を行うための手順について説明していきます。

構造化の具体的なプロセス
1.全体を定義する 「何を構造化するのか」ということを明確にする
2.切り口を探す 全体をどのような構成要素で分解するのか、その切り口を決める
3.分解する ロジックツリーを用いたり、グルーピングしたりして構成要素に分解をしていく
4.関係性を確認する 分解した構成要素同士が、どのようなつながりをもっているのかを確認する

 そもそも「何を構造化するのか」ということを明確にしておかないと、論点がずれてしまいます。

 安易に「トラブルを構造化する」では「トラブルの解決手順を構造化する」のか、「トラブルの原因を構造化する」とでは構成要素が大きく違ってきます。全体定義は目的がわかるようにしておきましょう。

 全体をどのような構成要素で分解するのか、その切り口はさまざまです。この切り口を探し、どのように定義するのかを決定しておきましょう。

 例えば「売上」の構成要素を分解するときに「商品別」なのか「顧客の属性」なのかで構成要素は大きく変わってきます。なぜ構造化を行うのか、その目的に応じた適切な切り口を決めましょう。

 切り口が決まったら、構成要素に分解をしていきます。このときのやり方は2つあります。

①全体から分解する

 大きな塊を細かくほぐしていくようなイメージで、切り口に沿って分解していきます。このときにロジックツリーを活用すると「もれなくダブりなく」の分解を行いやすくなります。

 例えば、 「売上」は「顧客数」と「客単価」に分かれます。「顧客数」は「常連」と「新規顧客」に分かれます。常連も「男性」「女性」や「年齢層」というように細かく分けることができます。このように徐々に視点を細かくしていく方法です。

②小さな要素をグループにする

 これはブレインストーミングなどで出された構成要素の意見を、切り口に沿ってグルーピングしていく方法です。

 こちらは先程とは逆に、「売上」からイメージできる単語として「新商品」「売れ筋商品」「サービス」「新規客」「常連客」のように自由に単語を出してもらいます。そのうえで、似たようなものを「顧客」「商品」というようにグループにしていきます。

 グルーピングの過程で足りない要素があれば、追加をしていくようにしましょう。

 分解した構成要素同士が、どのようなつながりをもっているのかを確認しましょう。例えば、構成要素の中で「原因」→「結果」のような因果関係が成り立つものもあります。また、時系列でAの次にBを行う、といったものもあります。

 この関係性がわかるように見える化をしておくことも大切になります。

 構造化をビジネスに生かすために、具体的にどのようなポイントがあるのかを解説していきます。

 ビジネスではさまざまな情報が飛び交っています。この情報の中から自分の目的に合ったものを選択し、整理していくことでいち早く顧客対応やトラブル対応を行うことができます。

 ビジネス情報の整理を行う際は、フレームワークを活用するといいでしょう。例えばマーケティング環境を分析する「3C分析」。経営戦略を立てるときに活用する「SWOT分析」。消費者の購入プロセスをモデル化した「AIDMA」などがあります。

 これらはすでに切り口が決まっているので、集めた情報を当てはめていくことで目的に合った情報の整理ができるようになっています。

 工場の組み立てプロセスや、事務作業の流れのプロセスなど、一連の作業を作成するときに構造化は欠かせません。

 きちんと構造化されたプロセスは、業務マニュアルとして活用できます。これにより、業務の属人化を防ぐことができます。その結果、誰がやっても同じ結果を生み出せるようになります。

 意思決定に至るための情報やデータを整理し、構造化により体系的にまとめることで、合理的かつ効率的な意思決定を促すことができます。

 また、なぜその意思決定に至ったのかが構造化により明確になるため、誰もが納得できるものとなるでしょう。仮に間違った意思決定をした場合、構造化されたものを見ることで、どこで判断を間違えたのかの原因を素早く見つけることもできます。

 今の社会、さまざまな情報が市場に溢れています。しかし、その情報をそのまま鵜呑みにしてしまうと、間違った判断をしてしまう危険性もあります。だからこそ情報をしっかりと構造化して、自分にとって本当に必要となるもの、有意義な情報だけを取捨選択することが大事になるのです。

 取引先などと話をするときに、あらかじめ情報を構造化しておけば、今どのレベルのどの部分の話をしているのかがすぐにわかるでしょう。これが円滑なコミュニケーションにもつながります。

 構造化の考え方は、さまざまな分野で活用できます。まずは自分がやれそうだと思った分野で構造化をトライしてみましょう。