「カップヌードル」の値上げ価格を拘束 日清食品が独占禁止法違反のおそれ
「カップヌードル」など5商品の販売価格を拘束した行為が独占禁止法19条(再販売価格の拘束)の規定に違反するおそれがあるとして、公正取引委員会は2024年8月22日、日清食品に対し、警告を出しました。日清食品は「弊社の取締役会において決議を⾏ったうえで、独占禁⽌法違反を許容しない旨のメッセージを社内に向けて発信し、営業活動、教育体制、監査モニタリング等の改善策を確実に実⾏してまいります」とコメントしています。
「カップヌードル」など5商品の販売価格を拘束した行為が独占禁止法19条(再販売価格の拘束)の規定に違反するおそれがあるとして、公正取引委員会は2024年8月22日、日清食品に対し、警告を出しました。日清食品は「弊社の取締役会において決議を⾏ったうえで、独占禁⽌法違反を許容しない旨のメッセージを社内に向けて発信し、営業活動、教育体制、監査モニタリング等の改善策を確実に実⾏してまいります」とコメントしています。
日清食品とは、1958年に世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」発売したことで知られている、インスタントラーメンなどの製造および販売を手がける企業です。
日清食品は、以前から小売業者が自社商品を販売するときに、特売を行わない期間である「通常時」に設定する小売売価である「定番売価」と、特売を行う期間である「特売時」に設定する小売売価である「特売売価」の基準を設定していました。
2022年6月と2023年6月の取引先卸売業者に対する出荷価格の引上げに向けて、それぞれ基準価格を改定しました。
日清食品は、「カップヌードル」、「カップヌードルシーフードヌードル」、「カップヌードルカレー」、「日清のどん兵衛きつねうどん」及び「日清焼そばU.F.O.」の主力5商品について、価格改定後の定番売価と特売売価をそれぞれ設定した上で、小売業者にその価格を遵守させるため、以下のようなことをさせていました。
通常時に、他の小売業者にも同様の要請を行っている旨を伝えたり、または、要請を受け入れるまでは特売の条件を出せない旨を示唆したりするなどして、日清食品が示した価格で販売するようにさせていました。
日清食品の担当者が、実際に陳列棚の値札やレシートをもとに店頭価格を確認していたといいます。
特売時にも、提示価格で販売することを前提に特売の条件を出すようにすし、日清食品が示した価格で販売するようにさせていました。提示価格未満で販売していた事業者には、提示価格通り販売するよう要請していたといいます。
日清食品の行為は、独占禁止法19条(再販売価格の拘束)の規定に違反するおそれがあることから、公正取引委員会は、日清食品に対し、上記の行為を取りやめ、今後、同様の行為を行わないよう警告したといいます。
これに対し、日清食品の公式サイトでは、次のようにコメントを発表しています。
⽇清⾷品株式会社 (社⻑:安藤 徳隆) は、弊社が販売する即席麺等について、⼩売業者に対し、弊社が設定した⼩売売価で販売させている疑いがあるとして、本年4⽉から公正取引委員会による任意の調査を受け、全⾯的に協⼒してまいりました。
公正取引委員会からの「警告」について(日清食品)
本⽇、弊社は独占禁⽌法第2条第9項第4号イ及び⼝に該当し、独占禁⽌法第19条の規定に違反するおそれがあるため、このような⾏為を取りやめ、今後は同様の⾏為を⾏わないよう公正取引委員会から警告を受けました。
弊社といたしましては、今回の警告を重く受け⽌め、法令遵守の体制をより強固なものにするべく改善に取り組んでまいります。
具体的には、弊社の取締役会において決議を⾏ったうえで、独占禁⽌法違反を許容しない旨のメッセージを社内に向けて発信し、営業活動、教育体制、監査モニタリング等の改善策を確実に実⾏してまいります。
お客さまやお取引先さまをはじめ関係者の皆さまに、ご迷惑、ご⼼配をおかけしておりますことを、深くお詫び申し上げます。
今後は、このような警告を受けることがないよう、法令遵守を徹底する所存です。
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