目次

  1. 「農家の子」から「経営者」へ
  2. 一般的な経営手法は通用しない
  3. 試行錯誤する文化を育てる
  4. 週休3日や有休完全消化を推進
  5. コロナ禍で開発したネギキムチ
  6. 人気アカウントとのコラボ実現
  7. 逆風も「正常化のプロセス」
  8. 売り上げ規模は3倍超に

 栗原農園は作付面積は約30ヘクタールで、従業員数は25人。地域の農家としては有数の規模で、年商は現在1億6千万円にのぼります。

 栗原さんの父親は1993年、農協職員から独立して農業を始めました。栗原さんは両親が営む農園を当たり前のように見て育ちます。兄はパン職人を志し、栗原さんも料理人の道に進むつもりでした。「農家を継げとも言われず、農家だからと引け目を感じることもなく、やりたいことはやらせてもらいました」

栗原農園で育てている小ネギ
栗原農園で育てている小ネギ

 高校卒業後、東京の服部栄養専門学校に進み、レストランでアルバイトをしました。この経験が農業への関心につながります。「実家から(店に)野菜を取り寄せることになり、食材の品質が料理のおいしさを左右することを実感しました。生産者としての責任や可能性を、初めて考えるようになりました」

 父に家業を継ぐ決意を伝えると、「お前が30歳になったら社長を交代する」と宣言されました。栗原さんは2006年、茨城県立農業大学校に進むと同時に栗原農園で働き始めました。

 当時の売り上げは約5千万円。栗原さんが家業に戻るころ、野菜の需要の高まりもあって、父は借り入れを増やしハウスを増設。3年から5年おきに投資していました。父から「1人2千万円の売り上げが必要」と言われ、規模拡大の必要性を感じます。

 「最初は何も分からず、ただ言われた通りに作業をこなすだけでした。でも、次第に『もっと効率的な方法はないか』と考えるようになりました」

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