目次

  1. 自転車の「ながら運転」 道路交通法で2024年11月から禁止
  2. 自転車の酒気帯び運転も違反 ほう助(手助け)も対象
  3. 違反時には自転車運転者講習制度も
  4. 自転車の交通違反に青切符 2026年5月までに施行

 自転車の「ながら運転」とは、自転車の運転中にスマートフォン(スマホ)などで通話したり、画面を見たり、操作する行為のことを指します。

 自動車と原動機付自転車などの運転中の「ながらスマホ」は道路交通法で禁止されていますが、2024年11月からはあらたに自転車運転中のながら運転も罰則付きで違反となります。

自転車関連事故件数の推移
自転車関連事故件数の推移(警察庁の公式サイトから https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html)

 背景には、自転車関連の事故が増えていることがあります。警察庁の公式サイトによると、2023年中の自転車関連事故の件数は、7万2339件で前年より2354件増えました。全交通事故に占める割合は2017年以降増える傾向にあります。

 2024年11月から「ながら運転」で交通事故を発生させるなど、交通の危険を生じさせた場合、罰則として1年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。

 事故に至らずとも、手でスマホを持ち、通話や表示された画像を注視した場合は、罰則として6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金となります。

 自転車の飲酒運転は、飲酒の程度にかかわらず禁止されており、いわゆる酩酊状態で運転する「酒酔い運転」のみ5年以下の懲役または100万円以下の罰金という罰則が設けられていました。しかし、2024年11月からは酒気帯び運転についても罰則規定が設けられるようになります。

 酒気帯び運転とは、血液1mlにつき0.3mg以上または呼気1Lにつき0.15mg以上のアルコールを身体に保有する状態で運転する行為のことを指します。違反した場合は、罰則として3年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。

 今回、酒気帯び運転のほう助(手助け)をした場合も罰則の対象となりました。車両の提供をした場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となり、同乗者や酒類提供者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。

 道交法改正により、違反時には罰則だけでなく、自転車の運転で、交通の危険を生じさせるおそれのある危険行為(信号無視、指定場所一時不停止、遮断踏切立入り、安全運転義務違反、通行区分違反など)を繰り返した場合は講習制度の対象となります。受講命令を違反した場合は5万円以下の罰金となります。

 このほか、道交法改正により、自転車の交通違反に対する反則金制度(青切符)が2026年5月までに適用されます。

青切符の概要(警察庁の公式サイトから)
青切符の概要(警察庁の公式サイトから)

 警察庁によると、青切符とは、比較的軽微であって、現認、明白、定型的な道路交通法違反について、反則者が警察本部長の通告を受けて反則金を納付した場合は、公訴が提起されない交通反則通告制度のことを指します。

 青切符はこれまで自動車と原動機付自転車が対象でしたが、道交法改正により、あらたに自転車にも適用されることになりました。反則金制度の対象となる違反行為は113種類で、酒酔い運転や妨害運転など24種類は対象外となります。

 取り締まりの対象年齢は16歳以上となります。対象となる行為と罰金は以下の見込みです。

  • 携帯電話の使用等(保持)…1万2000円
  • 遮断踏切立ち入り…7000円
  • 信号無視…6000円
  • 通行区分違反(右側通行・歩道通行など)…6000円
  • 指定場所一時不停止…5000円