蛍光灯はいつ生産終了?【2027年問題】LEDへ切り替えが必要
環境省によると、「水銀に関する水俣条約 第5回締約国会議」で蛍光灯の製造・輸出入が2027年末までに段階的に廃止することが決まりました。これを受けて国内大手のパナソニックは2027年9月末までに蛍光灯を生産終了します。今後、蛍光灯の値上げと品不足が予想されるため、製造現場などで蛍光灯を使用している場合、LED照明への計画的な切り替えが必要です。
環境省によると、「水銀に関する水俣条約 第5回締約国会議」で蛍光灯の製造・輸出入が2027年末までに段階的に廃止することが決まりました。これを受けて国内大手のパナソニックは2027年9月末までに蛍光灯を生産終了します。今後、蛍光灯の値上げと品不足が予想されるため、製造現場などで蛍光灯を使用している場合、LED照明への計画的な切り替えが必要です。
目次
経済産業省の公式サイトによると、水銀に関する水俣条約とは、水銀の一次採掘から貿易、水銀添加製品や製造工程での水銀利用、大気への排出や水・土壌への放出、水銀廃棄物に至るまで、水銀が人の健康や環境に与えるリスクを低減するための包括的な規制を定める条約です。
世界では、いまだに金の採掘や化学工業における触媒として水銀が使われていますが、水俣病で知られているように、人体への毒性が強く、食物連鎖により野生生物へも影響することが知られています。
こうしたなか、国連環境計画(UNEP)で、国際的な水銀の管理に関して法的拘束力のある条約を制定する話し合いを始めることが2009年に合意され、水銀に関する水俣条約が2013年に熊本県で開催された会議で採択・署名されました。
2023年11月の「水銀に関する水俣条約 第5回締約国会議」では、すべての一般照明用の蛍光灯の製造・輸出入を、2027年末までに段階的に廃止することが決定されました。
この廃止決定を「蛍光灯の2027年問題」と呼んでいます。
製品によって、生産終了の期限が少しずつ異なりますが、一般照明用の蛍光灯の製造・輸出入は2027年末までにすべて禁止となります。
環境省によると、見分け方として、国内製品であれば、品番の頭文字が「F」で始まるものが蛍光灯です。品番の詳しい見方は、パナソニックの公式サイトで確認してください。
種類 | 追加条約規制禁止期限 | |
---|---|---|
電球形蛍光灯 | 一般照明用(30W以下、水銀含有5mg以下)は2025年禁止 | 一般照明用(30W超、水銀含有すべて)は2026年禁止 |
コンパクト形蛍光灯 | 一般照明用(30W以下、水銀含有5mg以下)は2026年禁止 | |
直管蛍光灯 | 一般照明用 <三波長形蛍光体> 60W未満、Hg 5mg以下 60W以上、Hg 5mg以下 60W以上、Hg 5mg超 2027年禁止 <ハロりん酸塩蛍光体> 40W以下、Hg 10mg以下 40W超、水銀含有全て 2026年禁止 |
|
非直管蛍光灯 | 一般照明用 <三波長形蛍光体> 全てのW 2027年禁止 <ハロりん酸塩蛍光体> 全てのW 2026年禁止 |
|
冷陰極蛍光ランプ・外部電極蛍光ランプ | 種類にかかわらず水銀含有のものすべて 2025年禁止 |
国内の主要な照明メーカーは、すでに蛍光灯の生産終了の方針を打ち出しています。蛍光灯の国内最大手のパナソニックの公式サイトによると、蛍光灯の生産を2027年9月末までに終了すると発表しました。
品種 | 生産終了時期 |
---|---|
直管蛍光ランプ(三波長形) 丸形蛍光ランプ、点灯管 |
2027年9月末 |
ツイン蛍光ランプ (コンパクト形蛍光ランプ) |
2026年9月末 |
東芝ライテックも以下のように生産終了を明らかにしています。
品種 | 生産終了時期 |
---|---|
メロウホワイト蛍光ランプ(直管形) | 2024年12月在庫限り |
一般形蛍光ランプ(直管形) | 2024年12月在庫限り |
3波長形蛍光ランプ(直管形FLR40多本パック) | 2024年3月在庫限り |
3波長形蛍光ランプ(直管形HF32多本パック) | 2025年3月在庫限り |
ホタルクスの公式サイトでも、26製品の2024年3月に生産終了、在庫限りで販売終了したことを公表しています。
環境省によると、水銀に関する水俣条約はすでに使用している製品の継続使用、廃止日までに製造された製品(在庫)の売り買い・使用が禁止するものではありません。そのため、一部メーカーの製品などが2028年になっても在庫が続く限りは販売される可能性がありますが、品薄・値上げが予想されます。
代替品は、LED照明が主流となっています。LED照明への切り替えには、メリットとして、まず、省エネ効果と電気代削減があります。削減効果は、使い方によって左右されますが、環境省の資料(PDF)によると、年間2500時間点灯する従来型の蛍光灯300台をLED照明に更新したケースを試算すると、69%の削減につながるといいます。
また、LEDは蛍光灯より数十倍寿命が長いため、交換作業の頻度を減らすことができます。さらに交換にかかる費用(人件費、高所作業車)の削減にもつながるといいます。
LED照明は蛍光灯と比べて、ちらつきが無いようにして設計・製造されていますので、検品など細かい作業をするときの作業負担も減らせる可能性があります。
LED照明への切り替えにあたり、日本照明工業会の公式サイトは「蛍光灯照明器具をLED化する際、あるいは長期間使用した器具を交換する際はまるごと照明器具交換を推奨します」と説明しています。たとえば、直管LEDランプと既設の照明器具の組み合わせが不適切だと火災や感電などの事故が起こる場合があります。
LEDに切り替えるときは、初期投資の負担を念頭に置いて対応しましょう。LED照明は従来の蛍光灯と比べて1本・1個あたりのコストが高くなります。ただし、電気代を抑えられるので、長期的にみると安く抑えることができます。
都道府県や自治体の補助金や助成金を活用できる場合がありますので、事業所のある地域で活用できる制度を探してみましょう。
また、一気にLEDに切り替えるのは難しい場合、優先度の高い場所から段階的に導入することも検討しましょう。例えば、稼働時間の長い場所や、検品など明るさが必要な作業場所からがおすすめです。
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