目次

  1. 就職後3年以内離職率とは
  2. 離職率が高い業界・企業の特徴
  3. 若手人材の離職理由とは
  4. 企業の未来を担う人材を守るために

 厚労省の公式サイトによると、たとえば、2021年3月1日から2021年6月30日までに新規大学卒として雇用保険に加入した者を2021年3月新規大卒就職者とみなします。

 就職後3年以内離職率とは、このうち2021年3月1日から2024年3月31日までに離職した者のことを指します。

 新規学卒就職者の就職後3年以内離職率は以下の通りです。( )内は前年差増減

中卒:50.5%(▲2.4ポイント)
高卒:38.4%(+1.4ポイント)
短大等卒:44.6%(+2.0ポイント)
大学:34.9%(+2.6ポイント)

新規学卒者就職率と就職後3年以内離職率
新規学卒者就職率と就職後3年以内離職率

 厚労省の発表によると、企業規模別に見ると、従業員が少ない企業では大企業に比べて離職率が高くなっています。(P=ポイント)

事業所規模 高校 大学
5人未満 62.5% (+1.8P) 59.1% (+5.0P)
5~29人 54.4% (+3.1P) 52.7% (+3.1P)
30~99人 45.3% (+1.7P) 42.4% (+1.8P)
100~499人 37.1% (+0.4P) 35.2% (+2.3P)
500~999人 31.5% (▲0.3P) 32.9% (+2.2P)
1000人以上 27.3% (+0.7P) 28.2% (+2.1P)

 また、離職率が最も高い業界は「宿泊業,飲食サービス業」で、次いで「生活関連サービス業,娯楽業」となっています。労働時間が長く、暦通りの休日取得が難しい職種や給与水準が低いことも、離職率の高さにつながっていると考えられます。

高校 離職率 大学 離職率
宿泊業,飲食サービス業 65.1% (+2.5P) 宿泊業,飲食サービス業 56.6% (+5.2P)
生活関連サービス業,娯楽業 61.0% (+4.0P) 生活関連サービス業,娯楽業 53.7% (+5.7P)
教育,学習支援業 53.1% (+5.0P) 教育,学習支援業 46.6% (+0.6P)
医療,福祉 49.3% (+2.9P) 小売業 41.9% (+3.4P)
小売業 48.6% (+0.3P) 医療,福祉 41.5% (+2.7P)

 若手人材が辞めてしまう理由として一般的には、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため」、「賃金の条件がよくなかったため」といった理由があります。

 このほか、これまでに若手社員にインタビューした事例では、「残業が多ければ多いほど高い評価」「未来の自分が思い描けない」といった悩みを持っていました。

 若手の早期離職を防ぐためには、「1on1(ワン・オン・ワン)」も有効です。日ごろから若手人材が会社や仕事についてどう思っているのかを感じ取り、離職につながる要因をあらかじめ特定できれば対応できる可能性があるからです。

 新卒社員が早期離職してしまうと、企業にとって大きな損失となります。新卒社員の定着率向上は、企業の成長に不可欠です。新卒社員の定着のためには、採用から育成、働き方改革まで、多角的な視点から取り組みましょう。